「まなほの寂庵日記」(5) 先生へのお礼は誠心誠意|カナロコ|神奈川新聞ニュース

「まなほの寂庵日記」(5) 先生へのお礼は誠心誠意

 瀬戸内寂聴先生が夫と娘と暮らす家を飛び出して小説家を目指していた27歳の頃、少女小説を書いては少女雑誌に送りつけていた。ある日、街の本屋で出会った三島由紀夫の小説に感動し、初めてファンレターというものを三島宛てに送った。ついでに、自分も作家になりたいと書き添えた。

 すると、「自分はファンレターの返事は一切出さない主義だけれど、あなたの手紙があまりにも愉快だから思わず書いてしまった」と三島から返事が届いた。それから文通が始まり、少女小説のペンネームとして先生の挙げた三つの名前から三島は「この名が必ず文運金運を招きます」と「三谷晴美」を選んでくれた。すると先生の少女小説が雑誌にたてつづけに採用されるなど、次々と良いことが起きたという。

 先生は私の文章を褒めてくれ、書く楽しさを教えてくれた初めての人だ。先生のおかげで、なんと私は11月、生まれて初めての本を出版することに。先生のことについて書いた本で、私のイラストも使われる。まさか自分が生きているうちに本が出せるなんて、夢の一つがかなってしまった!
 執筆の依頼がくると、先生は毎回、「原稿料は入ったの?」と聞いてくる。...

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