横浜はホームタウン、音楽に終わりはない|カナロコ|神奈川新聞ニュース

横浜はホームタウン、音楽に終わりはない

パーヴォ・ヤルヴィさん

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【K-Person】パーヴォ・ヤルヴィ


 NHK交響楽団(N響)の首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィが来月11日、横浜みなとみらいホール(横浜市西区)に登場し、モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」=写真はチラシ=を演奏会形式で披露する。 

 同ホールでは2006年、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団(DKB)とともに「ベートーベン交響曲全曲演奏会」で初登場して以来、度々登場しタクトを振ってきた。「横浜は居心地の良い家のよう。水辺の街が故郷のエストニアにも似ていて癒やされます。おいしいものがある中華街も魅力的です」とほほ笑む。

 世界的指揮者のネーメ・ヤルヴィを父親に持ち、父が振るオペラをリハーサルの時からそばで見られる恵まれた環境で育った。「幼い頃から、オペラと言えば『ドン・ジョヴァンニ』。間違いなく、人類の最高傑作の一つです」。モーツァルトの数ある傑作の中でも「音楽的に群を抜いている」とたたえる。

 舞台はスペインのセビリア。貴族のドン・ジョヴァンニは、関係を持った女は2千人を超えるというほどの“女たらし”だ。ある晩、忍び込んだ女の家で、騎士長である女の父に見つかり争って殺してしまう。「パンより空気より、女が欠かせない」というジョヴァンニは多くの人から恨みを買う。そして、最後には墓から現れた騎士長の亡霊にざんげを迫られ、拒み通して地獄に落ちる。

 「モーツァルトの時代は、できるだけ女性を誘惑しようとするバカな男の喜劇として解釈されてきましたが、21世紀の今は女性の権利だったり、愛、友情、裏切り、信頼、権力への反抗など多層的に解釈できる複雑な作品になったと思います」と話す。

 今年5月、イタリアのスカラ座でオペラ形式で同作品を振った。「演奏会形式ではもっと音楽に集中できる。モーツァルトの繊細さをN響とともに表現したい」と意気込む。

 今年、N響を率いて欧州ツアーを行い、各地で絶賛されるなど大成功を収めた。「ツアーはオーケストラの成長にとって欠かせないものです」と話す。だが、「準備はきちんとしますが、準備万端と思えるコンサートはありません」とも言う。「もっと豊かな表現ができる、もっと上手に弾ける。音楽に終わりはありません」

パーヴォ・ヤルヴィ 
指揮者。1962年、エストニア出身。レナード・バーンスタインに師事。現在、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団芸術監督、エストニア国立交響楽団芸術顧問を兼任。2015年9月、NHK交響楽団首席指揮者に就任。9月11日は、午後2時開演。問い合わせは、N響ガイド電話03(5793)8161、横浜みなとみらいホールチケットセンター電話045(682)2000。


記者の一言
 昨年11月、同ホールで聴いたヤルヴィ指揮のDKBの演奏が衝撃的だった。演目はブラームス「交響曲第1番 ハ短調」。まわりの人がオーケストラの音色とハミングするほど、会場が一体となった不思議な感覚に鳥肌が立った。世界的指揮者の演奏が定期的に横浜で聴けるのは、何と幸せなのだろうか。その時の感動を伝えると、「交響曲は大きな旅路で、巨大な建造物を構築するイメージで指揮しています」とマエストロ。すてきな旅路にまた出掛けたい。

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