【社説】音楽教室の著作権料 徴収方針、再考すべきだ|カナロコ|神奈川新聞ニュース

【社説】音楽教室の著作権料 徴収方針、再考すべきだ

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/08/13 09:10 更新:2017/08/28 10:55
 音楽文化の発展を掲げる当事者同士が泥沼の争いを続けている。

 市中の音楽教室で先生が生徒にお手本で聴かせた演奏から著作権料を取る-。日本音楽著作権協会(JASRAC)の決定に、ヤマハ音楽振興会など事業者でつくる「音楽教育を守る会」が反発を強めている。

 6月には247社で原告団を結成し、JASRACが著作権の請求権を持たないことを確認する訴訟を東京地裁に起こした。

 にわかに対立が顕在化したように見えるが、問題は10年以上前にさかのぼる。

 JASRACが音楽教室から楽器演奏に伴う著作権の使用料を徴収したい意向を示したのは2003年。だが、事業者側との話し合いは平行線をたどる。そのため、楽器講座のあるカルチャーセンター(12年4月)やカラオケ教室などの歌謡教室(16年4月)から徴収を始めるなど、類似する業態でこの間実績づくりを進めてきた。

 そして、今年2月、音楽教室からも徴収する方針を決定。6月に使用料の規定について文化庁に届けを出し、来年1月から実施すると公表した。当面の対象は全国の教室約9千カ所で、年間受講料収入の2・5%、年間10億円以上の徴収を見込んでいるという。

 争点は先生がお手本として聴かせる演奏や生徒が練習で行う演奏が、著作権上の「演奏権」に当たるかどうかだ。演奏権は作曲家や作詞家が占有し、公衆に直接聴かせることなどを目的とする場合に、使用者は著作権料を支払う必要がある。

 守る会側は「『公衆』に対する演奏とは到底考えられない。社会教育における教室での授業は演奏権が及ばない」と主張。一方のJASRACは「音楽教室における音楽著作物の利用は不特定の顧客(受講者)に対するもので、公の演奏にあたる」と類似業態で示された司法判断を引き合いに正当性を訴えている。

 一般の感覚からすれば、先生や生徒を公衆と捉えることには違和感が拭えない。司法判断を待たねばならないが、JASRAC側は音楽教室が教育の場として機能し、音楽家や愛好家を育てていることにもっと留意すべきだろう。
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