やまゆり園小規模分散化へ 専門部会最終報告

131人の入所確保

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/08/03 02:00 更新:2017/08/03 02:00
 昨年7月に45人が殺傷された神奈川県立障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の再生を議論してきた県障害者施策審議会の専門部会は2日、最終報告をまとめた。現在の千木良地域、仮居住先である横浜市港南区の芹が谷地域に小規模施設を整備し、既存の県立障害者施設も活用して分散化する方向性を明記。入所者の意思決定支援を丁寧に行い、131人全員の入所定員を確保するとした。同審議会に報告した上で18日に黒岩祐治知事に提言する。

 県が当初示した全員が戻れる定員規模を前提とした現在地での全面建て替え方針とは大きく変わる形。2施設の定員は「県が最終的に判断するのが適切」(部会長・堀江まゆみ白梅学園大教授)として盛り込まなかった。大規模での建て替えを求める家族会などの意向については、「希望者すべてが千木良に戻れるよう整備する必要があるとの意見もある」と付記するにとどめた。

 千木良、芹が谷の2施設が備える機能として▽短期入所や交流の場などへの転用も視野に定員数を変更可能にする▽医療的ケアや強度行動障害など専門性の高い支援▽地域生活移行の体験設備▽鎮魂モニュメントの整備検討▽防犯設備-などを提言。相談支援など地域生活を支える拠点としての役割も求めた。

 安定した暮らしを確保した上で、希望に応じてグループホーム(GH)への地域生活移行を支援することも明記。地域の受け皿となるGHの設置促進や運営を後押しする補助の検討も求めた。政令市を除く県所管域での施設整備は「将来的な課題」と位置付けた。

 堀江部会長は終了後の会見で「一人一人の意思を聞き、『選べる福祉』を今回、期せずしてつくれた」と述べた。黒岩知事は「利用者全員への配慮とともに、現在の障害福祉施策の流れをしっかりと踏まえた内容」と評価。県は報告を踏まえ、9~10月に再生基本構想を策定する。


園再生を巡る経緯 昨年7月の事件発生後、県は家族会と施設の運営法人の要望に沿って現在地での全面建て替えを決めたが、一部の障害者団体などが「大規模施設は時代に逆行」などと反発。県は専門部会に検討を委ね、部会は今年2月から計12回の議論を重ねた。


解説 難題に一定の結論


 最終的に「入所者131人すべての入所施設を確保する」と明記した専門部会。半年にわたる議論は、事件の被害者である入所者の救済と理想の福祉施策追求という双方を見据えた難題に向き合いながら、最後まで着地点を探していた。

 論点とされたのは...

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