やまゆり園殺傷1年 日々の生活で関係性|カナロコ|神奈川新聞ニュース

やまゆり園殺傷1年 日々の生活で関係性

NPO法人「ぷかぷか」理事長 高崎 明さん

高崎 明さん

 一線は越えないにせよ、事件前から社会の中に「障害者は負担だ、お荷物だ」という考え方や「何となく嫌」という風潮はあったと思います。例えばバスの中で障害者と乗り合わせたとき「こっちに来ないでほしい」と感じてしまったことはありませんか。

 小学校の時から、障害の有無で分けられることが当たり前になっています。何かの機会がなければ、障害がある人とお付き合いすることはなく、彼らのことは分かりません。ただ「何となく嫌だな」というイメージだけが一人歩きします。

 措置入院や優生思想に関する議論ももちろん大事です。でも、それらが私たちの普段の暮らしとどれだけ接点がある問題かというと、途端にボヤッとして「私には関係ない話」で終わってしまいます。大切なのは、日々の生活の中で関係性をつくっていくことだと思うのです。

 2010年、パン店や飲食店などを運営するNPO法人「ぷかぷか」を、横浜市緑区の団地にある小さな商店街で立ち上げました。知的障害があるメンバー約40人が働いていて、営業時間外にもパン教室を開いたり、演劇の練習をしたり、地域の人たちと楽しめるイベントを開いています。

 そこに支援する側・される側という立場の違いはありません。「障害者への理解を」といった目的も全くありません。純粋に人間同士、ただ一緒に何かをする中で関係性が育っていきます。

 被告はどうだったのでしょう。障害がある人と、きちんと「人として」お付き合いした経験はあるのでしょうか。障害がある人のことを知らないまま、膨らんだマイナスのイメージが爆発して事件に至ったのではないでしょうか。

 「ぷかぷか」のブログには、事件について考える投稿を続けています。事件には憤りを感じます。批判したいこともたくさんあります。でも、批判しているだけでは新しい一歩を踏み出せません。記事は60本を超えました。前に進む。それが、生きているということだと思います。

 いつも発信しているのは「障害がある人たちとは一緒に生きていった方がいい」というメッセージです。「共生すべき」「差別はいかん」みたいな堅苦しいものではなく、「一緒に生きていく方が人生お得だよ」という感じです。

 うらやましいほど自由だったり、あっという間に人の気持ちをほぐしたり。彼らは街を耕しています。彼らがいることで生きやすい社会になります。それって、豊かですてきなことだと思うのです。

たかさき・あきら 1949年生まれ。県立特別支援学校教諭を定年退職後、NPO法人「ぷかぷか」を設立。地域住民との演劇ワークショップなど事業の枠を超えた企画を行っている。

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