時代の正体〈496〉差別主義者のデモ(下) 差別で稼ぐという卑劣|カナロコ|神奈川新聞ニュース

時代の正体〈496〉差別主義者のデモ(下) 差別で稼ぐという卑劣

ヘイトスピーチ考 記者の視点 デジタル編集委員 石橋 学

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/07/14 11:46 更新:2017/07/26 12:46
拉致問題をテーマにしたデモの先頭を歩く瀬戸氏(中央)=4月23日、東京都新宿区

拉致問題をテーマにしたデモの先頭を歩く瀬戸氏(中央)=4月23日、東京都新宿区

【時代の正体取材班=石橋 学】民族虐殺をタイトルにうたった「日本浄化デモ」をもう一度やる。そう目的を掲げながら「ヘイトスピーチはしない」と宣言する欺瞞(ぎまん)は、デモ申請が県公安委員会により許可された翌朝、デモを計画した瀬戸弘幸氏が自ら明らかにしている。13日、ブログに記された「川崎デモは公安委員会が正式に許可」と題する一文が在日コリアンへの差別と排斥の扇動、つまりヘイトスピーチになっているからだ。

 「在日勢力」などという虚偽の表現を使って市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」が申請を許可しないよう申し入れていたことに触れ、「我々の先ずは勝利」と記し、続ける。

 「今回のデモでも又同様な妨害を試みると思われ、在日朝鮮人が暴徒化してデモが出来ない可能性もある」「在日側の暴力によって再びデモが出来なかったという事実は、日本の民主主義社会が危機的状況にあることを改めて示す」

 津崎氏は昨年6月5日の日本浄化デモ第3弾が「言論弾圧」によって暴力的に中止に追い込まれたと言い募ってきた。そもそも言論弾圧は権力が市民に対して行うものだ。そして人を傷つける言論が憲法で保障された表現の自由であるはずがない。参加者の手には在日コリアンを侮蔑するプラカードが多数掲げられていた。だから、人権侵害を食い止めようと集まった市民に行く手を阻まれ、10メートル進んだところで続行不能となった。抗議に集まった約千人の市民のほとんどは日本人であった。

 ヘイトスピーチは人間の尊厳を痛めつけ、心身に変調をきたすほどの傷をマイノリティーに刻みつける。同時に、暴力を肯定する空気をまん延させ、平等で安寧な社会を破壊する行為である。そうしたデモは前に進ませない。悪罵をその場で打ち消し、抗議の声で差別の扇動効果をなくさせる。抗議のカウンター活動は重大な危機を目の前にした市民社会の「正当防衛」にほかならなかった。

 それを在日コリアンによる弾圧とねじ曲げ、「暴徒」などという虚言とともに瀬戸氏はひたすら敵愾心(てきがいしん)を書き連ねる。

 「昨年のデモを再現することこそが〈勝利〉」「『勇敢なる日本国民』が名乗りを挙げている」「相手は暴徒化して自分達が暴力を振るっても構わないとする連中」

 うそを使ってでも敵を仕立てて憎悪をあおる。それがブログや街宣を通じて長年差別を扇動してきた瀬戸氏の常とう手段である。

 「日本の民主主義の未来が在日朝鮮人によって、葬られてしまうのか?それとも我々日本人が輝ける未来を取り戻すのか?」

 荒唐無稽な言説もだが、あおられる存在により成り立っている。

憎悪まで捏造


 自らまいた種で出現した「市民社会対差別主義者」という構図を「在日コリアン対日本国民」に仕立て、賛同者をつなぎ留めるために瀬戸氏が標的にしてきたのが、...

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