【奔走】学童移転問題〈上〉 難しい選択迫られて|カナロコ|神奈川新聞ニュース

【奔走】学童移転問題〈上〉 難しい選択迫られて

面積基準を満たしていないとして移転問題に直面する神大寺学童クラブ=横浜市神奈川区

 「わたちゃーん、これ食べていいー?」「ちゃんと全員、座ったかなー?」

 午後4時半、横浜市神奈川区の市立神大寺小学校に隣接するマンション1階「神大寺学童クラブ」。子どもたちが外遊びから帰ってくるとおやつの時間。部屋は一気ににぎやかになる。わたちゃんこと、指導員の渡辺瑞絵さんのあいさつに続き、子どもたちは元気よく「いただきます」。バナナやパンをほおばった。
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 同クラブは今、ある課題に直面している。移転問題だ。

 厚生労働省は2014年4月、子どもの居場所の充実を目指して、「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」を公布。これを受けて15年4月に施行した横浜市の条例は、放課後児童クラブ(学童保育)に面積と耐震の基準を満たすよう求めている。同クラブが移転を模索しているのは面積基準を満たしていないからだ。

 本年度の在籍児童数は1~6年生までの計53人。ここ数年は40~55人前後で推移している。マンションの「専用区画」、つまり柱や事務スペースなどを除いた空間は46・95平方メートル。これに対し条例は、専用区画が1人当たりおおむね1・65平方メートル以上でなければならないと規定する。基準に照らし合わせると、28人しか受け入れができない。

 市は、15~19年度までの5年間を経過措置期間と設定。面積基準を満たしていないクラブは、20年3月末までに分割または移転しなければ、補助金の対象外になるとしている。
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 移転か、新たに部屋を確保する「分室」か、それとも別の学童を立ち上げる「分割」か。あるいは今の場所で人数を制限するか-。

 部屋は、もともと大家が学童のためにと作ってくれた。愛着があるし、何よりも学校の隣という安心感がある。分室も検討したがすぐそばに空き物件はない。分割するとして今でさえ不足気味な指導員が、確保できる見込みがない。学童を必要とする人たちの門戸を狭めることもしたくない…。最終的に移転の道を選んだ。苦渋の決断だった。

 15年度、保護者から選出した移転委員を中心に、物件探しや情報収集を本格開始。が、3年目となった今も移転には至らず、保護者の間に焦りと疲労が募る。

 保護者会会長の金子留美さんは言う。「私たちの願いは子どもの放課後の安全を確保したいだけ。だが、保護者が振り回され続けている。この実態を、多くの人に知ってもらいたい」
 移転問題に直面し奔走する学童クラブを通じ、学童を取り巻く課題を追った。

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