くぎを残さぬ海の家 五輪見据え江の島でNPO企画

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/06/09 02:00 更新:2017/06/09 09:45
 この夏、湘南の海にくぎを一本も使わない「海の家」がオープンする。藤沢市江の島でごみ拾い活動を続けるNPO法人「海さくら」と日本財団が「危険物のない砂浜で、だれもが安心して海水浴を楽しんでもらいたい」と企画した。江の島は2020年東京五輪セーリング競技の開催地。プロジェクトの参加者らは「美しいビーチで世界中の選手を迎えられたら」と意気込む。

 真っ白い天幕に、海の生き物が泳ぐ。黄色のタツノオトシゴや青や緑色の魚たち…。3日に藤沢市立片瀬小学校(同市片瀬)で開かれたワークショップには、地元の小中学生ら約30人が参加し、海の家に使用されるテントに絵を描いた。

 同法人は2005年発足以降、江の島周辺の海岸で清掃活動を続けている。近年、最も目立つごみは大量のくぎだ。10年3月、公益財団法人かながわ海岸美化財団が実施した湘南地区の5海岸でのごみ拾いでは、1日で約1万9千本のくぎが回収されたという。

 海さくら理事長の古澤純一郎さんは「さびたくぎも多く、蓄積されていることが分かった。これ以上、砂浜にくぎを残したくないと思った」と話す。くぎのない海の家を思い描いたとき、建築家で慶応大大学院教授の小林博人さんの存在を知った。

 小林さんは東日本大震災の被災地復興のため、間伐材を原料とする合板を建材に、くぎを使わない建造物を建設。宮城県石巻市に建てた漁師の休憩所は現在も使われている。

 「被災地復興に携わる中で、人々がつながり、新しいネットワークがつくられ、街が再生していった。海をきれいにするため、湘南でも同様の取り組みができると思った」と小林さん。今回の試みでは、設計とデザインを担当する。

 くぎのない海の家は、高さ4・5メートル、奥行き10・5メートル。アーチ状の屋根を天幕で覆った家はテントのように設置、解体が可能な構造だ。天幕は、東京五輪のエンブレムを手掛けた野老(ところ)朝雄さんがデザインした。

 古澤さんは「子どもたちが走り回れる砂浜をつくりたいと始めた企画に、いろいろな人が自分事として参加してくれている。この活動がより広がっていくことで、美しい湘南の海を実現できたら」と話す。

 海の家は7月1日に完成し、8月31日まで藤沢市の片瀬東浜海岸に設置される。シーズン終了後は解体されるが、来年以降も毎年天幕に絵を描き加え、五輪開催中も同所に設置する予定だ。

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