民間救命士、広がる活躍の場 プール監視やイベント救護

コンサートなど参加者が多いイベントで安全に目を配る救急救命士(ピースフル提供)

 消防機関には属さない救急救命士を社会で活用しようという動きが出てきている。大磯町営の屋外プールでは本年度から指定管理者となった民間業者の救急救命士らが監視業務に就き、県外には救急活動を委託する自治体もある。日本救急救命士協会は「(民間の有資格者を)活用しない手はない。消防行政の負担軽減につながる可能性もある」と期待している。

 大磯町の屋外プール「ポートハウスてるがさき」を他の事業者と共同で管理する「ピースフル」(相模原市中央区)は、同プールの監視業務だけでなく、スポーツイベントなどでの救護体制の構築といった仕事を手掛けている。

 社員15人中9人が救急救命士で、同社には民間の救急救命士約50人、看護師や医師約100人が登録している。この中からチームを編成し、イベント開催時などに出向、安全管理を請け負う。心肺蘇生の実施や、救急車出動要請の判断をするなど、医療へのつなぎ役を担う。

 「救命士は、消防職員が務めることを想定した資格だが、われわれ民間でも取得できる。何か貢献できることはないかと思っていた」。東海大学ライフセービング部出身で、自身も救急救命士である福島圭介社長(37)は2005年、そんな思いから起業したという。

 業務は多岐にわたる。マラソン大会やコンサート会場での救護業務、私立小学校のスキー教室や高齢者の参加が多い国内バスツアーの同行…。余命宣告をされ在宅介護を受けるお年寄りが、孫の結婚式に参加するために付き添ってほしいという申し出もあった。

 高齢化や安全・安心への意識の高まりから、福島社長は「人が集まればそれだけで何かが起こりうる。これからも人の安全を支えるニーズが増えるのではないか」と実感している。
 
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 日本救急救命士協会によると、全国の約5万5千人のうち、消防機関に属さない有資格者は2万人。民間の救急救命士に光が当たったのは、09年の東京マラソンと言われている。

 タレントがレース中、心肺停止状態になり、民間の救急救命士が自動体外式除細動器(AED)を使って蘇生したことで、その役割が注目された。

 また、消防の専門組織がない宮崎県美郷町や徳島県勝浦町では、救急活動を民間の救急救命士に委託。消防庁も、民間の救急救命士をイベント会場で待機させるなどの新たな活動方法の検討を始めたという。

 救急車の出動件数は年々増加しており、20年には東京五輪・パラリンピックの大イベントを控えている。福島社長は「民間の救命士の活用が一層進むことで、行政が埋めきれない部分をカバーし、国の一大事業に貢献したい」と話している。
 
救急救命士 病院に搬送される前の応急措置の充実を図る目的で、1991年に設けられた国家資格。搬送中の患者の肺に新鮮な空気を送る気道確保や、心臓に電気ショックを与えて鼓動を取り戻す行為が認められている。2006年の法改正で、医師の具体的な指示に基づき、心肺停止した患者の心拍を回復させる効果がある薬剤の投与も認められた。

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