ハイブリッド弁護士のお悩み相談「猫の親権は法律で取れる?」
女性自身
- 動物|神奈川新聞|
- 公開:2017/05/08 11:46 更新:2017/05/08 13:14
ハイブリッド弁護士のお悩み相談「猫の親権は法律で取れる?」(写真:女性自身)
【今回の相談】「現在、離婚を考えています。お互い離婚自体には合意しているのですが、譲れないのが『猫の親権』です。子どもがいないので、猫が息子代わりです。夫も絶対に猫を連れていきたいと言っています。なんとしても、私が猫の親権を取りたいのですが……」(40代女性・主婦)
【回答】「法律上、猫は『物』扱いなので、離婚した夫婦のどちらが猫を取るかという権利は、『親権』ではなく『所有権』になります」(仲岡しゅん)
今回のご相談、もうその猫さんは「ペット」じゃなくて「息子」も同然なんですのね。「物」じゃなくて、生き物ですものね。そりゃ情もあるでしょうし、取り合いにもなりますわ。
とはいえ、民法818条の「親権」に服するのは、成年に達しない子、つまり、あくまでも人間のお子さんです。他方、犬や猫は法律上、「財物」として扱われ、所有権の対象にしかならないのが今の制度。つまり法律上、猫は「物」扱いなので、離婚した夫婦のどちらかが犬や猫を取るかという権利は、正確には「親権」じゃなくて「所有権」になります。そこで問題になるのが、どちらが猫の所有権を取るかなんですが……。
まず所有権というのは、物を自由に使用・収益・処分する権利のこと。平たく言うと、自分の持ち物に対する支配権ということですわね。これが生き物ではなく、不動産や家具のような無機物なら、金銭的な価値に換算し、分割します。同様に考えると、生き物の場合も購入金額に置き換えて、こちらが生き物自体を取る代わりに、相手に購入金額の半分を支払う、といった解決方法も考えられないでもありません。
しかし、生き物に情が移ってしまうと、そうはいかないですわね。かといって、猫語を操って猫の意見を聴きとれる裁判官というのもいませんし、はたまた大岡裁きのごとく、2人で猫を引っ張って、「ニャー」と鳴いたほうに軍配、というわけにもいきませんわね。結局、日ごろから世話した実績とか、今後の生活環境が猫にとってより適切なのはどちらかとか、猫を購入したときの金額をどちらがどれだけ出したかとか、地道に話し合って決めるしかありません。
それでもお互い一歩も譲らず、決まらなかったら……。いっそ猫自身に決めてもらうとか。公平を期すため、互いの弁護士の立ち合いのもとで貴女と相手とが同時に「おいでおいでおいでー!」と猫を呼んで、猫が近寄っていったほうに「親権」を譲るということに、双方で決めてはいかが?
え?そんなん、弁護士の仕事じゃない?いえいえ、わたくしなら、哺乳類が苦手だとしても、依頼者のためならとことん付き合いますわよ。わたくしの場合、そうしてます。【女性自身】
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