港WOKRKER:成長を目の当たりに|カナロコ|神奈川新聞ニュース

港WOKRKER:成長を目の当たりに

日本丸への関心はずっと変わらない。「今は帆を張るボランティアもしています」=横浜市西区

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 帆船日本丸(横浜市西区)をはじめ、海に関係した施設で水泳やカッター(短艇)訓練、海や船に関する学習をする「よこはまこどもマリンスクール」。「優しく強いはまっ子を育てる」ことを目的に、1985年からの32年間で、約5600人の卒業生を送り出した。子どもたちは協力して活動する中でたくましく成長するが、大人になってからも、その魅力に引きつけられる人が少なくない。子ども時代に参加し、現在はスタッフとして関わる黒田あゆみさん(39)=磯子区=もその1人。市内の小学校で教員を務めながら、スクールで子どもたちの指導に携わっている。

 スクールは、日本丸の横浜誘致を契機に始まった。対象は市内の小学4~6年生で、多くの子どもに機会を与えるため、参加は1人1回のみ。決まった班で1年間活動し、夏に行う4泊5日の「南伊豆自然教室」のほか、日本丸に宿泊して甲板磨きやロープを結びつける訓練をする海洋教室など、横浜だからこその内容も多い。

 黒田さんがスクールに参加したのは、5年生だった88年。友人に誘われたことがきっかけだった。日本丸には興味があったが、「最初は乗り気ではなかった」という。ところが、参加するとその気持ちが一変した。

 活動内容が新鮮だったうえ、違う小学校に通う友達や、大学生のリーダーとの交流が楽しかった。1年間を終えたときに、「もう1年やりたい」と申し出るほど夢中になった。その後、横浜国立大学時代はリーダーに、20代半ばからはスタッフとして関わるようになった。スクールの活動は毎月1回程度あるが、「この1年で参加していないのは2回ぐらい」と精力的だ。

 一番の魅力は、子どもの成長を目の当たりにできること。

 スクールの核になる南伊豆自然教室では、周回コースで1500メートルを泳ぐ遠泳訓練や、カッターなどの海の活動と、ほぼ1日かけてのハイキングを行う。

 慣れない海での遠泳で、泳ぎながら泣きだす子もいる。それでも懸命に体を動かし、応援を受けながら完泳を目指して頑張る。最終日のハイキングでは、歩くことがつらくなった仲間を励ましたり、荷物を後ろから押したりする姿も見られるという。

 「非日常の中でたくましくなり、子ども同士の絆や一体感が生まれる。私にとってマリンスクールが楽しいことはずっと変わらず、そこに子どもが成長していく楽しみがさらに加わった」と目を輝かせる。

 とはいえ、スタッフの活動は過酷だ。遠泳では海に入り、コースの周囲でずっと立ち泳ぎしながら見守る。泳ぎ疲れた子どもに抱きつかれて、一緒に潜ってしまうこともある。体力面のつらさだけでなく、安全を最優先にしながら子どもに負荷をかけるため、気持ちも張りっぱなしだ。

 だが、厳しさよりも楽しさの方が上回るという。「スタッフも5日間をやり遂げると、大きな達成感がある。それだけ魅力的な活動なので、時間をやりくりしても関わりたい」と笑顔で話す。

 2017年度のスクールは、5月13日に開校する。「スクールでは、つらいことを乗り越える経験をしている。自分の道を見つけて、くじけず前向きに取り組んでいけるようになってほしい」と子どもたちにエールを送る。

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