打率1割台の男と、くさいグローブ

【カナロコスポーツ=佐藤将人】打率1割台の男のことを書きたい。横浜DeNAベイスターズのショートストップ、倉本寿彦だ。ラミレス監督は復調を信じて使い続けている。理由は単純だ。「結果が出なくても下を向かず、日々前向きに取り組んでいるから」。指揮官の信頼を聞きながら、記者は昔日を思い出して、ちょっと違うことを考えてうなずいていた。そうそう、だから倉本は大丈夫だと。

くさかったグローブ


 彼のグローブは、とてもくさかった。使い古して汗も雨も吸い続け、においがどうにもならない。同級生にも、散々からかわれていた。しかも、くたびれて革もグニャグニャだ。

 日も暮れたベンチで帰り支度をする倉本に声をかけた。「それじゃ、グラブの先でライナー捕ったら抜けちゃうんじゃないの?」。そう茶化すと、倉本は「大丈夫す。おれ、これがいいんですよ」と照れながら、くさいグラブをまた大事そうに磨くのだった。

 横浜高校時代の話だ。

 同級生のエース...

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