地元産の魅力消費へ ローカルファーストワゴン

山北の間伐材で作ったワゴン。昼時には弁当やコーヒーを求める人が次々に訪れる=横浜市中区

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山北の間伐材で作ったワゴンで弁当販売
ハマ産食材ふんだん

 地元で作られたモノを優先して消費しよう-。そんなプロジェクトが、シェアオフィスやコワーキングスペースでなる「mass×mass(マスマス)関内フューチャーセンター」(横浜市中区)で、展開されている。

 その名も「ローカルファーストワゴン」。県西部・山北町の間伐材で作った屋台(ワゴン)を活用、横浜市内産の食材をふんだんに使った「うお時」(中区)の弁当や、「aldo coffee」(同)のコーヒーを販売している。

 平日の正午近くなると、ワゴンが置かれた1階には近隣のサラリーマンやOLらが、続々と“来店”。その場で飲んだり、食べたりすることもできる。

 ワゴンが完成したのは2015年2月。きっかけはその前年にさかのぼる。

 マスマスを運営する企業「関内イノベーションイニシアティブ」の関係者たちが、山北町森林組合の幹部らと知り合う機会に恵まれ、現地を視察。短い丸太の数々を譲り受けた。2階のシェアオフィスの増設を検討していた時期でもあり、間伐材を活用できないかと考えた。

 製材所へ何度も通い、製材作業にも挑戦。横浜を拠点とする設計事務所「アイボリィアーキテクチュア」が、木のぬくもりを生かしたシェアオフィスを設計した。

 山北の自然に魅了された関内イノベーションイニシアティブのクリエーティブディレクター森川正信さん(41)は、考えた。

 「閉ざされた空間だけで(間伐材を)使うのはもったいない。せっかくの木の香り、山北のストーリーを横浜の人たちに知ってもらいたい」

 人口減や高齢化、林業従事者の減少といった課題に直面する山北町。実は横浜の水源地の一つでもある。

 ホームセンターへ行けば安価な海外産の木材が手軽に購入できる時代。だが、多少高価であっても、同じ神奈川・山北の間伐材を使うことが大事な水源の森を守ることにつながる。地元のモノを優先する発想そのものが、自分たちの消費行動を見つめ直すきっかけになる-。そんな思いから、プロジェクトは生まれた。

 活動は、横浜のアーティストやクリエイターらを支援する「アーツコミッション・ヨコハマ(ACY)」の助成を受けている。

 多くの人の協力によって完成したワゴンは現在、大小合わせて6台ある。杉やサワラを使っており、大きいもので横1・8メートル、高さ2・1メートル、奥行き90センチメートル。車輪付きで移動も可能。イベントで出張販売を行うこともある。昨年はシェアオフィス入居者らも加わり、カウンターも作り上げた。

 横浜生まれ、横浜育ちの森川さん。ウェブ制作やデザインなど幅広く手掛け、今は「地域の魅力をどうデザインし、発信するか」を自身のテーマに掲げる。

 ワゴンの活用方法には、さらなる可能性を感じているといい、今後は地元作家による作品の販売なども行いたいと考えている。

 「横浜にはすてきな商業施設がたくさんあるが、本当にローカルなモノを見つけたいならここ、という場でありたい。横浜を好きになる人が、もっと増えたらうれしい」

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