時代の正体〈456〉共生を目指す学校(下) 身構えず興味津々

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/03/21 09:38 更新:2017/05/10 17:55
電動車いすの矢賀さんと駆けっこをして遊ぶ子どもたちと大和教諭=2月27日、藤沢市立長後小学校

電動車いすの矢賀さんと駆けっこをして遊ぶ子どもたちと大和教諭=2月27日、藤沢市立長後小学校

時代の正体取材班=成田 洋樹】2月上旬、藤沢市立長後小学校2年生の教室。担任の大和(やまと)俊広教諭(40)は1時間目の授業前に、重度の身体障害がある友人の矢賀道子さん(51)と会った時の話を子どもたちに語り始めた。障害のある子もない子も共に学ぶインクルーシブ教育の研究会が新潟市で開かれ、一緒に参加したのだ。

 

「差別の加担者」

 
 広島県在住の矢賀さんは脳性まひで体が不自由なこと、電動車いすで移動し介助者の手を借りながら連れ合いの男性(50)と息子(26)と暮らしていることを伝えた。相模原殺傷事件についても触れた。

 「障害のある人がたくさん殺された事件は知ってる?」

 クラスの33人のうち半分ぐらいが手を挙げた。

 「やません(大和先生の愛称)の友達の矢賀さんが、その場にいたら逃げられずに襲われていたかもしれない」

 互いの顔が見えるようにコの字形に並べられた座席の子どもたちの視線が、大和教諭に集まる。お調子者の男子も静かに聞き入っていた。

 大和教諭が矢賀さんに出会ったのは5年ほど前、障害児教育の全国研究会の場だった。言語障害による聞き取りにくい言葉で熱弁を振るう姿に目を奪われた。

 「私たちは教育の場で排除されてきた。同級生と分けられて養護学校に行かされ、分離教育を受けざるを得ない状況にさせられた。ここにいる先生たちはそれを差別と思っていないのか。思っていないのなら差別の加担者といえないか」

 「差別の加担者」と言われ、大和教諭ははっとさせられた。学校現場には依然として「子どものため」という美名の下、保護者に特別支援学級や特別支援学校を暗に勧めるケースがあると感じていたからだ。以来、年1回の研究会の場で顔を合わせ、酒席をともにする友人だ。

 2月下旬には障害者団体の都内での会合に出席した後、長後小で子どもたちと交流することになった。

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