〈時代の正体〉友情と愛ラップに 川崎・桜本で音楽フェス

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/03/20 10:49 更新:2017/03/20 12:59
【時代の正体取材版=石橋 学】在日コリアンをはじめ、さまざまなルーツを持つ人たちが暮らす川崎市川崎区桜本地区で19日、若者たちの音楽祭「桜本フェス」が開かれた。この街がヘイトスピーチ(差別扇動表現)デモに襲われてから1年余り。誰もが違いを認め合い、尊重し合う「共に生きる街」に響いた優しい歌声-。

 朝鮮半島の民族打楽器チャンゴが勇壮な調べを奏で、フィリピンルーツの10代デュオが「愛を歌います!」と声を張り上げた。「ヘイトスピーチに反対なので、その思いを込めて歌います」。そうマイクを手にしたのは両親が在日コリアンと日本人の「ダブル」、小学4年生の男の子だった。

 地域の交流施設「市ふれあい館」の主催で3回目を迎えた共生の街、桜本ならではのステージ。トリを飾った10組目は地元中高生のラップグループ「アスチルベ」。花言葉は自由、恋の始まり。そのリリック(歌詞)がストレートに響く。

 〈なあ人種差別なんか楽しいか/人間を虫扱い〉〈それで誰が喜ぶ/みんな間違ってる〉

 〈ヘイトでぶつけられた感情ですら/崩せないこの街の友情や愛情は頑丈〉〈身近で見た驚きの光景/横たわった人々の行動が語っている〉

 在日コリアンの迫害を叫び桜本に迫ったヘイトデモは2015年11月と昨年1月。デモ隊の侵入を体を張って阻止した地域の人々やコリアンダブルの後輩に下村直大さん(16)は思ったという。「ラップで思いを表現することで自分も力になりたかった」

 それから考え続けた友情、愛、街のありように重ねた、こうありたいという自分自身。

 〈心から桜本の人々にサランヘヨ(愛してる)〉

 笑顔だった客席の大人たちのまぶたがいつしか濡れている。「相手を攻撃するようなラップもあるけど、自分たちは笑顔をつくりたい。ラブアンドピースで共に生きる。それが桜本の街だし、おれらだから」

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