時代の正体〈452〉立憲デモクラシーの会(上)「座視できない悪法」 |カナロコ|神奈川新聞ニュース

時代の正体〈452〉立憲デモクラシーの会(上)「座視できない悪法」 

共謀罪考 

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/03/17 12:20 更新:2017/08/22 20:32
【時代の正体取材班=田崎 基】政治学者や憲法学者で構成する「立憲デモクラシーの会」が、共謀罪の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案に反対する声明を発表した。第一線に立つ研究者として座視できない-。それは「共謀罪法案」が、憲法の定める基本的人権の尊重や、政治権力の暴走を防ぐ立憲主義の観点から大いに問題があり、かつ政府の説明も徹頭徹尾、国民への欺きによって形づくられているからに他ならない。共同代表の山口二郎法政大教授(政治学)は言う。「私たちが、反対の意思表示をすべきだという結論に至った」。15日に衆院議員会館で行われた会見での発言を2回にわたり詳報する。

十分な理由 立証されていない

長谷部 恭男 早稲田大教授(憲法学)
 刑事罰は、権力行使が最も先鋭な形で表れる場面である。刑罰権の行使を抑制するという基本原理を揺るがすことは立憲主義の観点から座視することができない。少なくとも刑事法の基本原理、基本原則を動かすにはそれを支える十分な理由が必要であるはずだ。

 十分な理由は立証されていないのではないかという疑念を示している。

 声明にもあるように、そもそも、この法が成立しなければ締結できないと言っている国際的組織犯罪防止条約の趣旨と、今回の法案のありようとは見過ごしがたいズレがある。

かこつけ政権の暴走許すまじ

山口 二郎 法政大教授(政治学)
 現代政治の研究者として指摘しておきたい。

 いま日本の国会は、議会の体をなしていない。およそ為政者、権力者が野党の質問、メディアの批判に対して説明責任を果たしていない。

 このような国会において、憲法上極めて疑義のある法案を審議し通過させるなどということはあり得ない。まさに安倍政権の政治は「かこつけ」の政治だ。五輪にかこつけて共謀罪を出す。働き方改革にかこつけて残業代ゼロを可能にする。南スーダンの平和(実現)にかこつけて自衛隊を派遣し武器使用を可能にする。

 一見もっともらしい状況をつくっておいて、全く違う中身の危険極まりない法案を提出し実現しようとしている。国民を欺き、権力にとって都合のいい法律をどんどん作っていく。かこつけの手法が、いまの政治の特徴だ。共謀罪法案はこの典型例だ。

 乱用の危険性は多くの指摘があったところだが、日本の政府が基本的人権をどのように考えているのか。目の前にある事例から想像がつく。沖縄で基地建設反対運動中に公務執行妨害や威力業務妨害の疑いで逮捕・起訴された山城博治氏に対する不当な長期拘留。警察、検察はもとより裁判所さえも基本的人権を守る砦(とりで)になりえない。このような状況で共謀罪ができてしまえば、警察、検察に人権を抑圧する武器を与えることになってしまう。

 やはりこの共謀罪法案の今国会への提出、そして成立を許してはならない。

COMMENTS

facebook コメントの表示/非表示

PR