横浜に“本場ロンドンタクシー”|カナロコ|神奈川新聞ニュース

横浜に“本場ロンドンタクシー”

市唯一個人営業 障害者も乗りやすく

横浜で唯一というロンドンタクシーを運転する中原さん=横浜市中区

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 横浜の街中を、ロンドンタクシーが走っている。真っ黒で、丸みを帯びたデザインが特徴の「TX4型」。本場・ロンドンで使われているのと同じ型で、現在、横浜で個人タクシーとして営業するのは1台のみという。

 運転するのは中原一浩さん(56)。10年に及ぶタクシー会社勤務を経て、4年前に個人営業を始めた。今は横浜個人タクシー協同組合に所属する。

 個人で始めるにあたり、車は絶対、ロンドンタクシーと決めていた。理由は簡単。「見た目が格好いいから」。400万円を投じて手に入れた。

 補助いすを使うと、後部に5人が乗れるゆったりとした造り。客が向かい合わせで座ることができる。さらにこの補助いすはドアに向かって90度、回転可能。サイドステップや車いす用のスロープも装備され、足の不自由な人たちにも優しい設計だ。

 乗客の中には、仕事や旅行、留学などでロンドン滞在中に乗車した経験がある人が多く、「懐かしい」と喜ばれることもしばしば。「この車でゴルフ場まで送ってほしい」といった要望や、地方の客がインターネットで車の存在を知り、予約を入れることもある。

 通常営業だけでなく、観光タクシーとしても活躍中。「NPO法人横浜シティガイド協会」に所属する中原さんは、「かながわ検定横浜ライセンス1級」の第1号取得者といい、豊富な知識を生かし観光ガイドも行っている。

 「やっぱり一番人気は港周辺。赤レンガ倉庫や大さん橋、山下公園、中華街、山手西洋館などを3時間半で巡るコースですね」

 各種モデルコースを用意するほか、1時間から貸し切りOK。料金は1時間4450円で、以後30分ごとに2010円加算される仕組みだ。

 生まれ育ったのは、横浜市南区。実家はお茶の卸・販売店で、自身は3代目という顔も持つ。20代後半で家業を継ぐも、日本人の生活スタイルが大きく変化。「お茶屋には逆風の時代」となってしまった。

 長年、配達を手掛けているため、道には詳しい。接客経験も生かせるとしてこの業界を選んだ。「ありがとう」「助かった」。そんな乗客の一言が、仕事の原動力だ。

 横浜で唯一のロンドンタクシー。意外にも「本当はもっと増えてほしい」と打ち明ける。1人で受けられる予約には、限界があるからだ。歴史的建造物が立ち並び、ロンドンタクシーがこれほど似合う街は他にないとも思っている。

 もう一つの夢は、横浜の観光タクシーの活性化を図ることだ。

 「横浜の魅力をより多くの人に知ってもらい、また来てもらいたい」。そのためには、タクシードライバーが横浜に関する知識や、おもてなしの意識をもっと持つことが大事だと考えている。「将来的には、予約の受発注やドライバー講習などを一手に担うNPOのような組織を立ち上げたい」とも。

 横浜観光タクシー活性化のキーマンになりたい-。熱い思いを胸に、中原さんはきょうもハンドルを握る。

 予約・問い合わせは、横浜個人無線室電話045(714)1313。

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