なぜ?音楽教室から著作権料 業界は反発 「音楽発展につながる」とJASRAC|カナロコ|神奈川新聞ニュース

なぜ?音楽教室から著作権料 業界は反発 「音楽発展につながる」とJASRAC

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/03/05 10:53 更新:2017/06/20 14:44
 日本音楽著作権協会(JASRAC)は、音楽教室から楽器の演奏に伴う著作権使用料を徴収する方針だ。来年1月から徴収を始めたい考えだが、その根拠は何なのか。一方で、業界団体はなぜ反対するのか。これまでの経緯や今後の見通しなどについて、JASRACの大橋健三常務理事(63)と、「音楽教育を守る会」事務局のヤマハ音楽振興会の功刀(くぬぎ)渉理事(60)に聞いた。

「創造サイクルに必要」

JASRAC 大橋健三常務理事

 -これまで著作権使用料を徴収していなかった音楽教室を対象とした経緯は。

 「JASRACでは、教養や技能の教授を行う場からの著作物使用料徴収について、1971年の社交ダンス教室を始まりに、フィットネスクラブ(2011年)、カルチャーセンター(12年)、社交ダンスを除くダンス教室(15年)、歌謡教室(16年)と範囲を広げてきた」

 「楽器教室については03年からヤマハ音楽振興会と話し合いを続けていたが、平行線状態だった。15年からは3カ月に1度、話し合いの場を設け、また16年からはヤマハ以外の音楽教室を運営する楽器メーカーとも話をしたが、『ヤマハの考えに沿う…』と言葉を濁し、進まなかった」

 -話し合いが平行線の中、決断した理由は。

 「昨年9月の理事会で17年度中に管理を始めるべきだという声が上がり、公平性などの観点から、踏み切ることを決めた」

 -音楽教室での演奏を著作権法の「公衆」に当てはめるのは強引ではないのか。

 「社交ダンス教室からの徴収を巡り争われた裁判では、受講生の指導のために音楽を再生することは『公衆』に当たると03年に裁判例が出ている」

 「さらに著作権法38条1項には〈公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない〉と記されている。音楽教室は営利事業であり、そこでの音楽著作物の演奏利用には演奏権が及ぶことになる」

 -大学や専門学校を対象にしないのはなぜか。

 「この38条1項に該当するため学校法人からは使用料徴収を行わない。ただ、音楽教室は学校教育ではなく、ピアノやギターを習う人には楽器を売るなどビジネスにつながっている。これまで報道では『子どもから音楽を学ぶ機会を奪う』などと言われたが、音楽は生涯教育の一つで大人向けの音楽教室にも力を入れられている。子どもが被害者とイメージづくりをされているように感じる」

 -年間の受講料収入の2.5%の著作権料を徴収すると公表しているが、数字の根拠は。

 「数字は使用料規定を文化庁に届ける7月までに決める。フィットネス教室は1%であったりと、それぞれ違う。ヤマハには話し合いの場に出てきてもらいたい。対象の音楽教室は約9千カ所あり、年間の受講料収入は1300億円あるとしている。教材費を含んだ金額なので、仮にこの半分を対象とした場合、700億円だ。月6千円の授業料であれば徴収額は1人当たり150円。何とか負担してほしい」

 「1987年に管理が始まったカラオケも最初は利用者団体と話し合いにならず、水と油の関係だった。JASRACは創作者からその権利を守ることを委託されている。われわれは悪者にされてしまうことが多いが、創作者の創造のサイクルを循環させるため(創作者にお金が回るよう)尽力している。創作者は霞(かすみ)を食べて生きているわけではない。サイクルを守ることは音楽文化の発展につながると信じている」

▽JASRAC 1939年11月に音楽の著作物の著作権を保護すること、音楽文化の普及発展に寄与することなどを目的として設立。東京都渋谷区。2015年度の使用料徴収額は1116億7004万円。


PR