要介護に至る要因調査 市と慶大、4月から85~89歳の1000人|カナロコ|神奈川新聞ニュース

要介護に至る要因調査 市と慶大、4月から85~89歳の1000人

 川崎市と慶応大学医学部は4月から、要介護に至る要因を解析するため、日常生活で介護を必要としない80代後半の市民1千人を対象に6年間にわたる追跡調査を始める。調査結果を基により効果的な介護予防の取り組みを探り、高齢者の生活の質の向上や健康寿命の延伸を目指す。 
 調査対象は、市内在住で要介護状態区分が要支援1か自立の85~89歳の1千人。介護が必要となる人の比率は75歳から上昇し、85歳を超えると半数に迫る勢いで増えることから調査対象に選んだ。調査の協力者を募り、6年間追跡し健康長寿の理由や自立状態を損なう要因を探る。

 基礎調査として健康調査(問診・診察、身体計測、運動機能、心電図、頸(けい)動脈エコー検査、採尿・採血など)と、骨密度と脊椎エックス線検査を行う整形外科調査を実施。今年と来年の2カ年で行う。

 追跡調査は半年後と1年後の聞き取り調査、3年後と6年後の健康調査と、日常生活や幸福感などを質問するアンケートを予定している。

 さらに本人の同意に基づき、市の介護保険情報と県後期高齢者医療広域連合会が持つレセプト(診療報酬明細書)を慶応大に提供。同大医学部は要介護に陥る原因疾患の特定など詳細な追跡に活用する。

 市は現在、調査に協力する希望者を募集中。協力者は市立川崎病院と井田病院で実施される慶応大医師による健康検査が無料で受診でき、結果を受け取れる。市は今後、慶応大と連携した市民向けシンポジウムなども開く予定だ。

 昨年9月、川崎区殿町3丁目地区を中心とした研究・人材育成の提案が国のプログラムに採択されており、今回の調査費用は採択に伴う国の支援金が充てられる。

健康寿命、延ばす施策を 研究責任者・新井講師 
 研究責任者である慶応大学医学部百寿総合研究センターの新井康通講師に今回の調査の意義を聞いた。

 -調査の目的は。

 「人生90年時代に入ろうとする日本では健康寿命の延伸が極めて重要になる。調査対象の85~89歳は今後急速に増加が予想されるとともに要介護に陥るリスクが高い年代だ。自治体の医療・介護保険データと連携することにより、自立から要介護に至る経緯を脱落なく捉えることが可能となり、これまでにない確度で要介護の要因が解析できる」

 -要因解析の注目点は。

 「老化に伴って増加する循環器系疾患、整形外科的疾患(ロコモティブシンドローム、フレイル)、認知機能の三つに焦点を当てる。これまでの研究から明らかになった老化の生物学的指標(バイオマーカー)が一般の高齢者の健康状態と相関するかも検証したい」

 -川崎市にとっての意義は。

 「市民が健康寿命の延伸に主体的に取り組むための健康増進・介護予防プログラム策定の科学的根拠となる。また、健康長寿の要因の研究は遺伝子や疾病歴、食習慣、身体活動など個人の健康・生活習慣に焦点が当てられてきたが、最近では地域とのつながりが大きな役割を果たすことが分かってきた。例えば、高齢になると1人で定期的に運動することが難しく、公民館などに集まってみんなで体を動かすような活動がますます重要になる。調査では地域との関わりも調べ、まちづくりに役立つデータベースを構築する計画だ」

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