【詳報】〈時代の正体〉「私は共謀罪に反対です」 各界から声上がる

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/02/17 09:34 更新:2017/02/17 09:55
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【時代の正体取材班=田崎 基】政府が「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改正法案を今国会に提出する予定を踏まえ、超党派の国会議員や市民らが16日、「私は共謀罪の国会提出に反対です」と銘打った集会を衆院議員会館で開いた。憲法学者や刑事法学者、弁護士のほか、ジャーナリストや評論家、メディア団体の代表者らがマイクを握り共謀罪の問題を指摘。「権力が国民を管理、監視する社会を生む。反対しなければいけない」と訴えた。各氏の主な発言を詳報する。


「いま声上げなければ」

鎌田慧さん(ルポライター)
 いま本当に国民が侮蔑されている。完全に無視されている。本当にやりたい放題やって、それでも支持率が下がらない。慢心した政権の下にある。さらに徹底してやりたいことをやる、という中で行われるのが共謀罪だ。

 政府と与党の共謀によって国民支配を強化しようとしている。

 6年前にここ衆院議員会館で「大逆事件」の集会があった。1905年に起きた事件。共謀もない実行もない、準備もない。それでも24人に死刑判決が出され12人が実際に処刑された事件だった。このとき最後に処刑された管野スガさんは「煙のような座談だった」と語っている。

 元気のいい若者たち4人が天皇をやっつけようという話をしただけで、具体的な根拠も準備も行動もなかった。それでも処刑された。

 後に総理となった平沼騏一郎は回想録にこう書いている。

 〈とにかく(明治時代の思想家)幸徳秋水がこの事件に関係ないはずはない〉〈事件(爆弾を作る実験)が本当であれば幸徳秋水は首魁(しゅかい)に違いない〉

 恐るべき見込みと捜査によって大量の社会主義者が逮捕された。

 これは日本の近代史のごく一部。横浜事件もあった。これも完全なでっち上げで、共産主義を弾圧するという狙いだった。

 共謀罪についてみると、どこまでが「普通の人」で、誰が過激派で、犯罪者集団になるか。これは盗聴、盗撮によって監視しなければ分からない。そうした恐怖政治はもう始まっている。

 それも2020年の東京五輪やカジノといった美名を利用して共謀罪を一気に成立させようとしている。この構図はよく見えていて、よく分かっている。だがそれに対してなかなか反撃できていない。悔しい思いがある。

 2013年に安倍晋三首相は(五輪招致の際)「世界一安全な国」と言っている。こういう言い方はとても危険だ。「世界一」を維持というのは、つまり徹底的に支配するという超管理社会を目指すことになる。

 (1937年に)ナチスに収監されたニーメラー(神父)の詩を読み上げたい。これは痛切な詩です。

 〈ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声を上げなかった。私は共産主義者ではなかったから。社会主義者が牢獄に入れられたとき、私は声を上げなかった。私は社会主義者ではなかったから。彼らが労働組合たちを攻撃したとき、私は声を上げなかった。私は労働組合員ではなかったから。

 そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声を上げる者はただ一人も残っていなかった〉

 本当にこうした時代になっている。「私には関係ないから」と声を上げなければ、私たち自身が、自由をこれからも持っていられるのかどうかさえ危うい。そういうことがこの日本で始まりつつある。戦後世代の私としては本当に想像できない。とにかく力を出してがんばっていきたい。

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