時代の正体〈445〉示されたオール川崎の力 条例はなぜ必要か(2)|カナロコ|神奈川新聞ニュース

時代の正体〈445〉示されたオール川崎の力 条例はなぜ必要か(2)

ヘイトスピーチ考

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/02/16 09:12 更新:2017/07/14 12:46

わが街語り


 県議、市議はそれぞれに「わが街」を重ね合わせて語った。ヘイトデモに襲われた桜本の隣町、大島5丁目で生まれ育った民進党県議の市川佳子は力説した。「子どものころから在日コリアンはいっぱいいて、みんな当たり前に受け入れていた。川崎はそういう街。いろんなものを受け入れるダイナミックな街だ」

 予告されたヘイトデモに抗うために立ち上がった市民ネットワークの結成集会に参加したのは昨年1月23日。桜本の中学1年生が涙ながらに「みんな仲良く暮らしている僕たちの街にヘイトスピーチは要りません」と訴える姿に「私たち大人は何をしているんだと思った」。

 それから1年-。「運動が今日、こうしてみんなを巻き込む大きなうねりになったのは当事者の訴えの力であり、それを支えた市民の力。分断の世の中に対抗していくのは団結しかない。さまざまな違いを乗り越え一つになっていく、川崎の底力をここから広げていきましょう」

 公明党市議団副団長の沼沢和明は「個人的な話だが」と前置きし、息子の結婚を報告した。

 「結婚相手のおばあさんは大島に住む在日1世で、お母さんは2世。これで私も皆さんの仲間になれたのかな。昨年12月には4世代目となる孫も生まれました」。そう笑みを浮かべると「いよいよ条例制定に進んでいかなければならないという思いを市議全員に与えてくれた皆さんの勇気に感謝する。ヘイトスピーチを含む人種差別を撤廃する日本初の条例制定に向けて働いていきたい」と表情を引き締めた。

 民進みらいの市議団長、織田勝久は川崎区生まれの母から、兵器工場で働かされたこと、艦載機の機銃掃射を受けて目の前で友達が死んでいったことを聞かされて育ったと語った。

 「先達が苦労して今の繁栄がある。その川崎の良き伝統の一つが多文化共生だ。人権施策と平和施策はこれからまちづくりの基本理念でなければならない」

 市長の福田紀彦がヘイトスピーチを目的とした公的施設の利用を認めないガイドラインを作り、幅広く人権を守る条例の議論を進めると表明したことを受け、「事前規制をしっかりして、人種差別を徹底してなくすという議論をしていかなければならない。国会が作った理念法に、市の実情に即した付加価値を加えた条例を作ることは可能だ。超党派で、川崎市の議会の意志として進めていきたい」。

 そして、在日コリアンの排斥を叫び、地域に分断と恐怖を刻み込むヘイトデモに「私たちは地域で仲良くやってきた。あえて言うが、川崎市の歴史、伝統を知らないよそ者がとやかく言うことではない」と語気を強めると、じっと目を閉じていた斎藤が「その通り」と重々しい声を発したのだった。

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