稲田防衛相「憲法9条上問題になるから『戦闘行為』ではない」 南スーダン「日報」廃棄問題

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/02/08 22:46 更新:2017/02/10 16:12
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【時代の正体取材班=田崎 基】南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊が活動を記録した「日報」に、現地での武力衝突について「戦闘」と報告されていた問題で、稲田朋美防衛相は8日の衆院予算委員会で「戦闘行為があったか無かったかは、憲法9条上の問題になるため、『武力衝突』という言葉を使っている」と答弁した。自衛隊のPKO派遣は、PKO5原則に則していることで合憲であるというのが政府の統一見解。「戦闘行為」があった場合には5原則の「武力紛争」に当たり、違憲な海外派遣となってしまう。このため稲田防衛相は「戦闘行為」と「武力衝突」を使い分けていると強調した。

 また、稲田防衛相は、昨年9月の段階で南スーダン情勢の認識を答弁する際に「日報」や、日報を基に作成された「モーニングレポート」を見ていたかを問われ「見ていない」と答えた。

 「日報」を巡る8日の国会質疑を詳報する。


 小山展弘衆議院議員(民進党) 平成28年9月30日に国会答弁をする際に、同年7月11日に作成された日報やこれを受けて作成されたモーニングレポートはご覧になられたか。

 稲田防衛相 明確に法的意味における戦闘行為、すなわち国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し、ものを破壊する行為と定義されているところの戦闘行為は行われていない。そのことは7月の状況、それ以降の南スーダンの状況については詳しく説明を受け、確認をした上で答弁をしたところです。

 小山議員 質問は一点です。1次情報である日報やモーニングレポートはご覧になられたのか。

 稲田防衛相 さまざまな形で7月以降の情勢、当時の南スーダンの情勢については毎日報告を受けていたが、いまご指摘のモーニングレポート、そして現地の派遣施設隊が作成していた日報そのものを見ていたわけではありません

 小山議員 びっくりする。これだけ大きな、大規模な戦闘が起きていたのに1次情報を確認していないというのは非常に驚き。では何に基づいて、当時答弁していたのか。ものを破壊するとかそうした戦闘行為はなかったというが、迫撃砲が使われた戦闘が報告されている。何に基づいて答弁したのか。

 稲田防衛相 施設隊の日報は毎日作る。何のために作るかといえば、(上級部隊である)中央即応集団司令部に報告し、この中央即応集団司令部がモーニングレポートを作る。いまご指摘の国会答弁はいつの時点の状況について質問されたのか、確認したいと思う。

 その上で「戦闘行為ではない」と申しましたのは、当時の南スーダンの状況、すなわち国会で議論になっていた南スーダンの状況が、国対国に準する組織、または国対国が国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し、または物を破壊する行為と定義されているものではない、ということを答弁したということです。

 小山議員 このときの質問は、7月10日を含む一連の銃撃戦について「戦闘行為」があったと考えていいのか、という質問だった。明確に7月のことについて聞いたもの。もう一度答弁お願いします。

 稲田防衛相 当時の国会では7月の状況も踏まえて、南スーダンの状況、武力による衝突の状況が「戦闘」に当たるかということが議論になっていた。7月の状況を踏まえ、国際的な武力紛争の一環として行われる「人を殺傷し、またはものを破壊する行為」、これは法律上定義されている法的な用語であるため、混乱を避けるため「戦闘」という言葉は使わないということを繰り返し伝えた、ということです。

 小山議員 「7月の情勢を踏まえて」というご答弁だったが、そしたら7月11日の日報にある「迫撃砲を用いた」「戦車を用いた」というのは、人を殺傷しあるいは、ものを破壊する行為ではない、ということになるのでしょうか。

 稲田防衛相 何度も申し上げて恐縮ですが、法的意味における「戦闘行為」とは、国対国または国対国準との間の国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し、またはものを破壊する行為でありますので、その点、一般的用語における「戦闘行為」と、法的意味における「戦闘行為」が混同されることを避けるために、「戦闘」という言葉を避けてきた、ということでございます。

 小山議員 日報やモーニングレポートには「戦闘」という言葉があるが、「戦闘行為」あったということは認めるのか。

 稲田防衛相 法的意味において意味があるのは「戦闘行為」かどうかだ。法律に定義がある「戦闘行為」ではないということ。そこの文章でいくら「戦闘」という言葉が一般的用語として使われていても、それは法的な意味の戦闘行為、すなわち「国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し、またはものを破壊する行為」ではない、ということです。

 小山議員 非常に苦しい答弁だ。実際に自衛隊が作成した文書の中に「戦闘」という言葉があるではないか。「戦闘」はあったのか。

 稲田防衛相 何度も申し上げるが、意味があるのは法律的な意味の「戦闘行為」かどうかだ。「戦闘行為」かどうかということについては「戦闘行為」ではないということ。そこには「戦闘」と書いてあるが、それは一般用語としての「戦闘」であって、法的用語としての「戦闘」ではない、ということでございます。

 小山議員 それでは、7月11日の状況についてどういうご認識か。

 稲田防衛相 「武力衝突」ということでございます。

 小山議員 自衛隊の資料には「戦闘」とある。では「武力衝突」と「戦闘」は日本語として、どのように違いがあるのか。大事なことなんです。法律を守って自衛隊員が命を失っていいのか。事実確認が大事。事実確認に基づいてPKO5原則を守った上で、PKO派遣するのかを判断するべきだ。「戦闘」という言葉を使って報告している。これをどう認識しているのか。

 稲田防衛相 なぜ法的意味における「戦闘行為」についてこだわっているかと言えば「国際的な武力紛争の一環として人を殺傷し、またはものを破壊する行為」が仮に行われていたとしたら、それは憲法9条上の問題になりますよね。そうではない、「戦闘行為」ではない、ということになぜ意味があるかといえば、憲法9条上の問題に関わるかどうか、ということです。その意味で「戦闘行為」ではない、ということです。そして、何が問題かといえば、「国際的な武力紛争の一環」として行われるかどうか、その点がないので「戦闘行為」ではない、ということでございます。

 委員長 稲田防衛大臣、再度答弁願います。

 稲田防衛相 その日報に書かれているのは一般的な意味における「戦闘」という言葉を用いたのだと思いますが、私は、それは明らかに、法的な意味における、すなわち「国際的な武力紛争の一環」として行われるかどうか、これは憲法9条との関係で非常に重要だし、法律上も定義があり、その法律上の意味における「戦闘行為」ではない、ということを申し上げています。

 小山議員 自衛隊は「戦闘」という言葉を使って報告している。「戦闘はあった」ということは認めるか。

 稲田防衛相 一般的用語として「戦闘」と書かれているが、国会の答弁は正確に「武力衝突」という言葉を使わせてもらった。

 小山議員 いま「戦闘」というのはあった。だた、「戦闘行為」はなかった、という答弁でいいか、確認させてもらう。「戦闘」という状態はあったか。自衛隊の報告にある「戦闘」は事実としてあったのか。

 稲田防衛相 事実として申し上げますと、「人を殺傷し、ものを破壊する行為」はあったけれども、国際的な武力紛争の一環としては行われていない、従って法的意味における「戦闘行為」ではありませんが、「武力衝突」はあったということでございます。

 小山議員 事実行為として戦闘はあったのか。

 稲田防衛相 事実行為としては、武器を使って人を殺傷したり、あるいはものを壊す行為はあったが、国際的な武力紛争の一環として行われるものではないので、法的意味における戦闘行為ではない、ということでございます。そして、国会答弁する場合には、法律において規定されていて、また、憲法9条上の問題になる言葉を使うべきではない、ということから私は一般的意味において「武力衝突」という言葉を使っております。しかしながら、日報の中では辞書的な意味で、一般用語的な意味で「戦闘」という言葉を使われたのではないかな、と推測をしているということでございます。

 小山議員 日報の中でも、大統領派と反大統領派との戦闘が起きている、激しい銃撃戦が行われている、戦車や迫撃砲を用いた激しい戦闘と書いてある。これは「戦闘行為」にはならないのか。

 稲田防衛相 そのマシャール派(反大統領派)と、そして政府方(大統領派)の武力の衝突行為は国際的な武力紛争の一環とは評価できないと思います。

 小山議員 一般的な常識的感覚からすれば、この大規模行為、あるいは戦闘が行われた。戦闘行為と戦闘の違いは一般国民には分かりにくい。ジュバ市内で激しい戦闘があった。南スーダンはほぼ内乱状態にあった。PKO5原則に反する、あるいはPKO5原則を検討しなければならない状況だったのではないか。当時を振り返ってご答弁いただきたい。

 稲田防衛相 当時の政府、そしてマシャール派の状況からみて、国または国準と評価できるような支配領域を有する勢力ではなかった。従って、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷、またはものを破壊する戦闘行為が行われていたとは考えられず、PKO5原則は守れていたと考えています。

 小山議員 戦車ですよ、迫撃砲ですよ。それが飛び交っていた。国と国に準ずるものでなければ戦車など持っていないだろう。国に準ずるものと一般的に考えられるだろう。戦車まで持っていても、国に準ずるとまでは言えないということでしょうか。

 稲田防衛相 反主流派のマシャール派についてですが、同派は系統だった組織性は有していない、また同派により支配が確立された領域があるとは言えない。また双方とも事案の平和的解決を求める意思を有していたことなどから、マシャール派が国または国に準ずる組織とは考えられない、ということでございます。

「日報」廃棄と発見の責任は


 小山議員 それでは(日報の)情報公開について尋ねる。昨年の情報公開請求の際に、なぜ発見できなかったのか、と。開示責任を果たさなかったと指摘されても仕方ないと思いますけれど、情報開示請求があって最初見つからなかったときに、稲田大臣が指示を出してさらに、深掘りをするような確認をするようなことをされたのか。この点について、大臣の認識、大臣の責任について、どのようにお感じになられているのか、お聞きしたいと思います。

 稲田防衛相 昨年7月の南スーダンの首都ジュバにおける衝突事案の期間中に作成された南スーダン派遣施設隊の日報については、情報公開法上の開示請求を受け、日報の作成元である派遣施設隊、および報告先の中央即応集団司令部を中心に探索した結果、既に廃棄しているということから文書不存在につき、不開示と決定したものです。

 開示請求にかかる行政文書は、開示請求から起算して30日以内に速やかに特定する必要があります。開示請求を受けた防衛省としては、限られた期間の中で当然、陸上自衛隊の日報を作成した部隊や、報告先の部隊を中心に日報が保管されているかどうかを探索したところですが当時、防衛省として、文書を探索しきれなかったことに関しては、十分な対応ではなかったと認識をいたしております。

 当該日報については、その後も複数の開示請求がなされたことを踏まえ、私からも本当に日報がないのかしっかり探索するよう指示をしていたところ、河野太郎議員からも、再度探索すべきとのご指摘を受け、私からもさらに探索するように指示し、再度日報にアクセス可能な部局に範囲を広げたところ、統合幕僚監部において、日報が電子データとして見つかった次第でございます。

 防衛省としては、再度同種の開示請求がなされれば、日報が見つかったことも踏まえ、適切に対応したいと考えております。

 小山議員 河野太郎議員から言われて出てきたということでは、私は稲田大臣として情けなかったのではないか。なぜもっと早く見つからなかったのか。今まで「ないない」と言ってきた。廃棄と言いますけれども、文書だったら廃棄ですけども一般的にはデータってのは残ってることが多いんですね。国民に謝罪するということはお考えになりませんか。

 稲田防衛相 まず河野太郎議員から言われて、探索を指示したのではなくて、私も「ない」という報告を受けて本当にないのかどうかしっかりと探索するように指示をしていたところであります。

 また陸上自衛隊においては文書管理規則にのっとり管理し、廃棄もしておりましたが、隠蔽(いんぺい)に当たるというご指摘は、当たりません。

 開示請求については関係法令等に基づき適切に対応するのは当然のことであり、防衛省としては情報公開請求に適切に対応していきたいと考えております。

 小山議員 適切に対応していきたいとのことでしたので調査班をつくって、なぜこんなに情報公開が遅れたのかと言うことは、しっかり調べていくべきだと思いますし、稲田大臣は責任者として国民に、あるいは国会に謝罪すべきだと思います。これほど開示が遅れたのは大臣の指示が行き届いていないのではないですか。もっと早く見つかってもよかったと思います。ぜひ、お願いしたいと思いますが、いかがですか。

 稲田防衛相 これまでも防衛省は年間約4500件、月約400件の開示請求に対応してきたところですけれども、今般の事例を踏まえ、開示請求対象となる行政文書を特定するに当たり当該文書が不存在であるとの判断に至った場合においても、当該文書の存在について再度入念に確認し、必要に応じて探索範囲の拡大に努める等、行政文書の特定にかかる判断に正確を期してまいりたいと思っております。

 小山議員 1人でも死者が出たら内閣総辞職するというくらい非常に重要な情報がもし、大臣や総理のところに上がっていなかったら大変なことですので、ぜひ情報公開の問題も含めて対処していただきたいと申し上げまして、終わります。

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