生きる証し、地域のなかで一緒に演じる豊かさ|カナロコ|神奈川新聞ニュース

生きる証し、地域のなかで一緒に演じる豊かさ

障害者と住民が自由に表現 横浜で29日「ゴーシュ」上演

笑いが絶えない雰囲気で練習を重ねるメンバー=横浜市緑区

 福祉作業所のパン店・カフェで働く障害者と地域の住民らが一緒に創り上げるミュージカル演劇「セロ弾きのゴーシュ」が29日、横浜市緑区の区民文化センター「みどりアートパーク」で上演される。4歳から67歳までの老若男女が入り交じり、健常者と障害者という線引きが一切存在しない舞台。型にとらわれない自由な演技で、障害者と一緒に生きる社会の豊かさを伝えたい-。メンバーは思いを表現に込め、稽古の仕上げに励んでいる。 

 「さっき思いついた動き、面白いから本番でもやってみようか」「セリフの後、もっと間を空けた方がいいかな」。同センターの一室に約30人が集まり、試行錯誤しながら歌や演技に磨きをかける。

 弁当を持ち寄って冗談を言い合ったり、障害があるメンバーが参加者の子どもを世話したり。効果音を奏でる打楽器を鳴らして遊ぶ子どもや、即興ダンスを披露する男性の姿もある。

 舞台を企画しているのは、同区で作業所を運営するNPO法人ぷかぷか。障害者らによるイベント「表現の市場」で披露する演劇だ。

 同市青葉区の会社員高鳥佑太さん(31)は、パン店常連客の妻可那さん(36)の提案で、長女の木音里(ことり)ちゃん(4)を加えた家族3人で初参加。「これまで障害者と関わる機会がなくて最初は様子をうかがってばかりいたけれど、メンバーと話しているうちに『障害がある人は、こういう感じなんだ』って魅力に気付いて。それから純粋に楽しくて、本番が終わってしまうのがさみしい」

 カフェで調理を担う松井敏晃さん(38)は「演劇を通して知らない人と仲良くなれるのは楽しいし、仲間同士でも仕事中には見られない意外な一面を発見できる」と笑う。

 演目は宮沢賢治の同名小説を独自にアレンジ。装飾した段ボール製のチェロをはじめ、小道具や背景画も参加者が協力して準備した。笑いも交えたコミカルな雰囲気に仕立てたが、演者の気分次第でアドリブが入るため、上演内容は本番まで分からないという。

 ぷかぷかを経営する高崎明さん(67)は「多様な人が演じる舞台の豊かさは、障害がある人たちと一緒に生きる社会の豊かさとも通じる。自由なパフォーマンスを通じて魅力を感じ取ってもらえれば」と、来場を呼び掛けている。

 午後2時~4時半。入場無料。聴覚障害がある団員らによる人形劇や知的障害者のパフォーマンスライブなども同時開催する。問い合わせは、ぷかぷか電話045(453)8511。

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