川崎・定時制高にカフェ 身近に相談相手好評

無料のジュースを飲みながら自由に過ごせ、年上のスタッフに相談もできる「ぽちっとカフェ」=川崎市立川崎高校定時制

 川崎市立川崎高定時制(同市川崎区)の校内にあるフリースペース「ぽちっとカフェ」が生徒たちに好評だ。県内公立高で唯一、子ども支援の専門スタッフが複数常駐し、さりげなく高校生を見守って相談に乗る。オープンから2年余り。同校は「地域(の専門家)と連携することで、学校だけでは把握しづらい家庭の問題にも対応できる」と効果を実感している。

 毎週金曜日、校内の一角に看板が掛かる。午後4時ごろから定時制夜間部の生徒が授業前に、同5時半ごろからは同昼間部の生徒が授業後に顔を出し、ジュースやお菓子が並んだテーブルに集まる。おしゃべりをしたりゲームをしたり、過ごし方は自由。傍らにいる数人のスタッフと会話が弾む。

 「薬を飲んでいるから眠くなって大変なんだ」。常連の女子生徒が、スタッフの女性(21)に打ち明ける。母子家庭で持病を抱えている生徒は「親には迷惑を掛けたくないから病気のことは話さない。カフェなら、姉や兄のように何でも相談できる人がいる」と信頼を口にした。

 カフェは2014年10月、市の福祉施策の一環としてオープン。教育的効果が認められ、16年度からは同市教育委員会の「生徒自立支援業務委託事業」となった。

 運営するのは、子どもの交流拠点・市ふれあい館(同市川崎区桜本)を管理している社会福祉法人青丘社。職員の鈴木健さん(42)は「『助けを求めることが罪だと思っていた』と話す子もいる。信頼関係を築き、SOSを拾うことが必要」と話す。スタッフは全員、同法人で児童・生徒支援の経験を積んだ20代の若者だ。

 母子家庭で、生活保護を受給していなかった男子生徒の母親が、病気で倒れたことがあった。生徒は教員に相談しなかったが、学校はカフェのスタッフを通じて事情を把握。家庭をサポートすることができたという。

 定時制の生徒約350人のうち、毎週70~100人がカフェを訪れ、学年を超えた生徒同士のつながりも生まれている。同校の安斉廉教頭は「中学時代から不登校だった生徒も多いが、カフェで友人ができ、学校が楽しくなったという子が増えた」と話す。

 定時制夜間部の入学者約70人のうち、卒業するのは40人前後。「中退を防ぐには家庭も支援する必要があるが、高校になると(学校が)家庭の情報を集めるのは難しい。だからこそサポートが重要」と安斉教頭。就労相談ができる場もつくろうと、関係団体と協議している。

 県内では県立田奈高(横浜市青葉区、全日制)、同市立横浜総合高(同市南区、定時制)でも、ボランティアらが同様の取り組みを行っている。川崎市教委は「生徒の定着率はどの定時制高校でも課題。川崎高のカフェを参考に、他校での実施も検討していきたい」としている。

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