「地球一周の船旅」に“異変” 乗客、今やほとんどシニア層

「オーシャン・ドリーム」で地球一周の船旅に出るシニア層=横浜港大さん橋国際客船ターミナル

 NGOピースボートが企画する「地球一周の船旅」に“異変”が起きている。若者が中心だった乗客は、今やシニア層が圧倒。国内客船が世界を巡るクルーズを手控える中、比較的手頃なピースボートの旅に流れ込んでいる。「一生に一度の夢」だった船旅に魅せられ、リピーターとなる人も増えているという。

 9日午前、横浜市中区の横浜港大さん橋国際客船ターミナル。ピースボートがチャーターした客船「オーシャン・ドリーム」(3万5265トン)が93回目の「地球一周の船旅」に出航した。色とりどりの紙テープが舞う中、デッキに集まった乗客は白髪の男女がひときわ多かった。ピースボート事務局(東京都新宿区)によると、乗客約950人のほとんどをシニア層が占める。

 かつての中心だった若者層は横ばい傾向で、150~200人程度で推移。代わって増えたのが定年退職を迎えた60歳以上の中高年だ。今回は南極遊覧を含めた南半球を巡る104日間の船旅。珍しい航路ということもあり、普段は7割ほどのシニア層が、リピーターを中心に8割に上った。

 シニア層を引きつける理由について広報担当者は、4人相部屋で1人129万円からと他船に比べて安い価格設定であることに加え、日本発着の世界一周クルーズがピースボートの独占状態になったことを挙げる。

 日本船籍の客船3隻のうち、「にっぽん丸」は2011年を、「飛鳥2」「ぱしふぃっくびいなす」は15年を最後に世界一周クルーズを行っていない。人気の地中海に向かう航路に当たるソマリア沖・アデン湾周辺で海賊行為が過激化したことや、中東や北アフリカ各地でテロなどの政情不安があるためだ。いずれも17年の世界一周クルーズの予定はないという。

 「飛鳥2」の運航会社、郵船クルーズ(同市西区)は「18年のスケジュールは検討している段階」。「にっぽん丸」を運航する商船三井客船(同港区)は「国際情勢がさらに悪化しているので、再開の踏ん切りがつかないのが実情」と明かす。

 大さん橋で「オーシャン・ドリーム」の船内見学会に参加した同市内に住む70代の女性は「本当は日本の客船で世界一周に行くのが夢だった」と明かす。夫は「展望風呂から地中海を眺めるなど、日本船ならではの楽しみ方があった。国際情勢が良くなってほしい」と話した。

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