時代の正体〈399〉障害者殺傷事件考(中)政治行政の不作為こそ|カナロコ|神奈川新聞ニュース

時代の正体〈399〉障害者殺傷事件考(中)政治行政の不作為こそ

新井たかね・社会福祉法人みぬま福祉会理事

 埼玉県内で入所施設の運営などを手掛ける社会福祉法人みぬま福祉会の理事新井たかねさん(70)の長女(44)は、重度の心身障害がある。相模原の障害者施設殺傷事件から2カ月余、自身の内なる優生思想と向き合う日々だったと打ち明けた。

 事件を知り、娘と同じような障害を持つ人たちが声も上げられず命を奪われた状況を想像し、胸がつぶれる思いでした。容疑者が元職員で、障害のある人たちの命と存在を否定する言動をしていたことを知った時は、憤りで体が震えました。

 その言動の背景に優生思想があると言われていますが、この日を境に私自身はどうであったのかということに向き合ってきました。娘の障害を受け入れるまでには簡単ではない道のりがありました。生後5カ月で脳性まひと診断され、障害を持ちながら幸せに生きていけるだろうかと、娘に謝りながらの日々でした。

 克服への最初の一歩は娘が生まれる前、木村浩子さんの本に出合い感銘を受けていたことにあります。わずかに動く左足で絵を描き、短歌を詠み、子育てもする。その生き方を否定するのかと、私自身に問い直しました。

 もう一歩は養護学校義務教育化の4年前、重症心身障害児を守る会に養護学校準備室の先生が来て、皆さんのお子さんも入学できるよう一緒に声を上げましょうと呼び掛けたときです。

 あるお母さんは「うちの子は教育を受けても社会の役に立つとは思えない」と言いました。それに対して先生は「どんなに障害が重くても社会に役立っています。生きている。それだけで周囲の人に自分の生き方や社会の在り方を考えさせてくれる大切な存在です」と話しました。こんな価値観があるのだと衝撃を受け、その言葉にずっと支えられてきました。

 もう一歩は、...

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