港WORKER:ハマの夜空花火で彩る|カナロコ|神奈川新聞ニュース

港WORKER:ハマの夜空花火で彩る

花火師・山田洋右さん

花火を打ち上げる筒を設置する山田さん=横浜市内

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 「横浜山田の花火」の4代目、山田洋右さん(39)=横浜市南区=は7月17日、市内のふ頭に着岸する縦15メートル、横50メートルの台船上にいた。十数人の花火師とともに火薬を入れる筒を所定の位置に備え付けた。

 この日はある花火大会の2日目。「筒に燃えかすがたまるので、初日使った筒は全て取り換える」と、汗をぬぐう。大小2千本もの筒を台船にきっちりと並べる。「火薬類を取り扱うので、作業の安全性に気を遣う」

 打ち上げ現場は、暴発した場合でも防御できる点火小屋からの遠隔操作。昔よりは直接な危険度は低くなった。「それでも、火の粉や燃えかすは降ってくるし、爆音がとどろく。花火をじっくり見る余裕はない」

 大学時代の4年間、夏休みにアルバイトで花火の作業に携わるようになった。肉体的にも厳しく、危険も伴う職場と痛感したが、「打ち上げた後、数秒遅れて聞こえてくる大きな歓声にしびれ、疲れも忘れた」。花火師になることを決意した。

 店の登記は1957年だが、戦後すぐに花火を打ち上げた記事が残る。かつては市内の自社工場で製造していたが、昭和40年ごろに打ち切った。現在は国内各地から仕入れ、演出し、打ち上げる。

 一般向けの花火も扱う。お薦めは線香花火。一時は国産がほぼ作られなくなったが、10年ほど前に復活した。「光は強くないが情緒があって、味わいがある」。火が付いて、大きくなり、激しく散って、ぽつっと落ちる。「起承転結がある。人間の一生と同じなんですよ」

 大学卒業後、長野県の花火職人の下で1年間修業を積んだ。火薬の配合、色を出す火薬作り、玉込め。作業は各工程に分かれ、尺玉のような大きなサイズは完成までに1カ月ほどかかる。「手間をかけて作られていることを実感し、花火師として玉の良さを生かしたいと思った」

 20代後半で現場のリーダーを任せられ、演出も手掛けるようになった。「花火は実際に上げてみないと分からない。夜空の空間を思い通りに描こうと、秒単位で何度もシミュレーションする」

 花火の進化は日進月歩だ。直接火を付ける点火方式が、今ではコンピューター制御。動きや色使いが精巧になったため、演出の幅は広がり、精度も向上した。「1発ごとに魅了できる。予想通りに観客が反応すると、この仕事の醍醐味(だいごみ)を感じる」

 イベントの盛り上げ役が多い海外に比べ、日本は種類も豊富で、堂々とした主役になる。「いつかはラスベガスのように、ホテルの屋上や観覧車のすぐ近くで四方八方に打ち上げることができたら」と夢を語る。

 横浜の海を舞台にした花火大会に年4回携わる。「陸で打ち上げる大会よりも観覧場所が離れているので、大きな花火が求められるが、それぞれの大会によって見せ方は違う」。音楽や光とコラボレーションする場合はタイミングが全て。短い時間でテンポ良く打ち上げる大会もある。

 8月2日は、年一番の大仕事の神奈川新聞花火大会。「海域が広いので、尺玉を含め豪快で大きな玉を打ち上げます」

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