凶行防ぐ手だては…対応の課題検証へ 相模原殺傷事件

措置入院12日後解除

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2016/07/28 02:00 更新:2016/08/03 18:14
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 相模原の障害者施設殺傷事件で逮捕された元職員(26)は今年2月、自分や他人を傷つける「自傷、他害」の恐れがあるとして相模原市が措置入院させていた。症状がなくなったとして市は12日後に入院措置を解除。元職員は退院からおよそ5カ月後に事件を起こした。市は「解除の判断は間違っていなかった」とするが、国や県と相談しながら課題の検証を行うとしている。

 元職員は2月14、15日、東京・永田町の衆院議長公邸に「私は障害者を抹殺できる」などと事件を予告する手紙を持参。同時期には、職場の津久井やまゆり園の同僚に「日本国の命令があれば(大量殺人を)実行する」と打ち明けた。

 19日に元職員と同施設との面談が行われた際、津久井署員が立ち会い、同容疑者が重度障害者の大量殺害を行う旨の発言をしたため、同署員が精神保健福祉法に基づき市に通報。同容疑者は、精神保健指定医の精神疾患があるとの診断に基づき緊急措置入院となった。

措置入院の流れ

措置入院の流れ

 同22日に別の指定医2人が再診察を行った際は、それぞれが異なる診断名を挙げ、薬物性と人格性の精神疾患と診断した。

 元職員は入院当初は興奮状態にあったというがその後落ち着き、「あの時はどうかしていた」などと話し、薬物反応もなくなったことから、病院は3月2日、措置入院の必要性がなくなったと市に報告。市は同日、措置入院の解除を決定した。

 元職員は退院後、市外の両親宅で生活しながら通院治療することになっていたが、実際は同園近くの自宅に1人で住んおり、市は把握していなかった。

 法令で義務化されているわけではないが、市は措置入院した患者が単身者などリスクが高い場合、退院後に自宅訪問や転居先の自治体に連絡することにしているという。今回は病状などからリスクは高くないと判断し、こうした措置は取らなかった。

 退院した措置入院患者の病状や通院治療の確認などフォローは現状の制度で義務付けられておらず、市精神保健福祉課は「法律で規定されていない以上、他自治体への個人情報の伝達は慎重にならざるを得ない」と指摘し、市幹部は「国と相談しながら制度を検証していく必要がある」と話した。

措置入院 精神疾患のため、自分や他人を傷つける恐れがある人を、本人や家族の意思とは関係なく、行政が強制的に入院させる制度。精神保健福祉法の規定に基づく。2人以上の精神保健指定医が加害の恐れがあると判断することが条件。入院期間に定めはない。指定医が定期的に診察し、入院の必要がなくなったと判定した場合、病院が自治体に「症状消退届」を提出する。これを基に都道府県知事や政令指定都市の市長が退院について判断する。


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