「分かった」という危険 赤堀雅秋|カナロコ|神奈川新聞ニュース

「分かった」という危険 赤堀雅秋

旬漢〈18〉

最新作「葛城事件」について語る赤堀雅秋監督

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 握るサバイバルナイフが、すれ違う女の、老人の腹を次々と切り裂いていく。

 スクリーンの中で起きた惨劇。だが、映画が終われば、私たちは銀幕の中で無差別殺人が起きた場所に似た雑踏に紛れていく。向かった駅で、地下街で、ショッピングセンターで。物語として目にしていた光景が自分の目の前では起こらない・・・なんて、誰にも言い切ることはできない。エンドロールを目で追いながら、言いようのない不安に襲われた。

 初めてメガホンを取った「その夜の侍」(2012年)で、妻をひき逃げされた男の復讐(ふくしゅう)劇を描いた赤堀雅秋(44)が、最新作「葛城事件」で取り上げたのは「家族」と「死刑制度」。自分の価値観を押しつける父の元、殺人を犯し死刑囚となった、葛城稔(若葉竜也)とその家族。そして死刑制度反対を訴え、獄中結婚をした女(田中麗奈)。それぞれが抱える「なぜ」をひもといていく。

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