社会が先に変わろう 改憲、争点になるか注目|カナロコ|神奈川新聞ニュース

社会が先に変わろう 改憲、争点になるか注目

【憲法特集】奥田愛基氏(SEALDs)

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2016/05/03 02:00 更新:2016/07/09 12:10
奥田愛基氏(SEALDs)

奥田愛基氏(SEALDs)

 「SEALDs」。「自由と民主主義のための学生緊急行動」を英語にし、頭文字を取った団体は、ちょうど1年前の2015年5月3日、東京・渋谷で発足した。昨夏から国会前で声を上げ続けてきた中心メンバーの奥田愛基さん(23)は安倍晋三首相の選挙戦略を警戒する。改憲に強い意欲を示す一方、鋭い争点化を避けるのではないのか。「憲法について首相が『何を言わないのか』。注意深く見ていく必要があります」

 -現状の社会、政治状況をどう見ていますか。

 政権に対する批判に効果的な力を感じない。萎縮とかそういうレベルではなく例えば朝日や毎日、東京、神奈川新聞が1面でいくら書いても、それほど政治に影響していないという感じがします。デモも過去最大規模の10万人が集まったというが、今の政権を止めるだけの力にはなっていません。

 そうした中でここ数年で強く認識したことは、野党が極めてだらしないということです。いくら盛り上がっても連動しない。今がいいと思っていない人はたくさんいるのに、投票したい政党がない。野党が何とかしなければいけない局面なのに国民の声を代弁しようとする姿勢がない。

 政権支持理由の1位は「ほかに入れるところがないから」です。まともに思考しているのかと問いたくなりますが、つまりは野党の責任です。

 一方で国民が求めている政治と安倍政権の政策との乖離(かいり)は大きくなっています。

 有権者が政策を選び選挙で勝った政党が実現する。それが民主主義の一つの形です。ですが社会保障改革やTPP反対など、自民党が宣言していたことは必ずしも行われていません。アベノミクスさえも、良くなかったという評価が一般的になってきました。

 では、この政権を支えているものは一体何なのでしょうか。

 圧倒的人数が支持しているわけではなく、単に敵がいないというだけの政権は極めて不健全です。

 さらに有権者数の2割程度の支持で議席の約7割を占めているという現状を踏まえると、安倍政権がやっている内容はあまりにテンションが高すぎます。

 デモをやると、共産党や民進党の手先だと言われます。だけど僕はそういうふうには思っていなくて、むしろ野党に期待ができないからやっています。

 共産党がいくら議席を増やしたといっても第1党にはならない。では民進党にしっかりしろよと言っても、民進党に政権交代してほしいと思っている国民が今どれだけいるでしょうか。安倍政権の政策に不満のある有権者は「この政権だけはやめてくれ」と言うしかない状況です。

 このように政治の側から考えていくと「政治家がしっかりするまで、国民は見て待っていましょう」ということになる。ですが残念ながら傍観していても状況はずるずると悪くなるばかりです。であれば「私たちはこういう政治を求めています」と声を上げ、プレッシャーを与えなければいけない。

 -デモのカルチャーを日本に取り入れたいと言っていました。

 路上に出て自分の言葉で訴えようとか、スピーチするというカルチャーは日本にはありませんでした。これまでのデモや集会は政治家の話を聞いたり、代表者がマイクを握ったりというスタイルでした。そうではなくあなたの意見をあなたの言葉で語っていいんだ、という形にしたことで社会は少し変化したと感じています。

 政治は国会の中で行われていて、だから「何をやっても無駄じゃないか」というところから「そうであるなら、少なくとも自分たちの社会の方が先に変わろう」ということです。そしてデモに数千人、数万人が集まるということが普通になっていったのです。

 -それでも応援に駆け付けた衆院北海道5区の補欠選挙では野党統一候補が落選しました。敗北感や徒労感はありませんか。

 動けば思ったより変わるし、同時に思ったよりも変わらない。この当たり前のことに耐えられるかどうかということです。

 「やれば変わる」と過信するのも「どうせやっても意味がない」と信じないのも、結局は表裏一体なのです。「あなたが動けば、次の選挙は絶対勝てます」とか、そうはならない。

 つまり賭けに近い。ひっくり返せるかどうかは分からないけれども動けば変わるかもしれない。目指す100パーセントすべてが変えられるわけではないが、考えている以上に行動したことによる変化は、社会にも自分の中にも残っていきます。

 先日、いきなり国会前で「保育園落ちたの私だ」という抗議デモが起きました。北海道の選挙は負けたけど、参加した市民は「こんなことができたんだ」と手応えを感じている人もいるはずです。

 -そうした市民の思いと懸け離れたところで、安倍首相は憲法について在任中の改正を強く打ち出しています。

 一体何を変えようとしているのか。...

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