ご当地歌で故郷救え 横浜の「Pi坊」CD売り上げ、義援金に

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2016/04/29 11:31 更新:2016/04/29 11:38
 熊本市で生まれ育った音楽家「Pi坊」こと井上博友さん(37)=横浜市神奈川区=が、甚大な被害に見舞われた故郷に寄せる思いを形に変えようと動き始めた。家族や友人が避難生活を強いられている現実に心を痛め、オリジナルCD「くまもと自慢歌」の売り上げを義援金として届けることを決意。不安や迷いを抱えながら、「横浜にいてもできること」で希望をつなごうとしている。

 第1報は、仕事帰りの電車内で同郷の友人から届いた無料通信アプリLINE(ライン)のメッセージだった。

 「熊本震度7だって!」

 真っ先に頭をよぎったのは築38年の実家。父親(65)と車いすの母親(68)の2人暮らし。「もうダメかもしれない」。呼吸が荒くなり、途中下車した駅の公衆電話とスマホで電話をかけ続けた。両親や友人の無事は確認できたものの、余震が続く状況に不安は募るばかり。ほとんど眠れず、何もできない罪悪感と焦りにさいなまれる日々が続いた。

 両親は避難所を転々としたが、バリアフリー環境が整っておらず自宅に。熊本県内の弟家族は5人で車中泊を続け、友人も体育館での避難生活を強いられている。苦境を目の当たりにして思い出したのが、3年前にリリースしたCD「くまもと自慢歌」だった。

 「熊本のみんなに自分の活動を知って喜んでもらえたら」との思いを込めた明るい曲。歌詞には特産品や名所を盛り込んだ。横浜や都内で講師を務めるボイストレーニングやゴスペルの生徒たちも収録に参加したり振り付けを考えたりした、横浜と熊本の“共作”のような1曲。販売価格千円のうち、製作費を除く685円を義援金にしようと決めた。

 インターネットで協力を呼び掛けると、全国から「どこに何をしていいのか分からなかった」「力になりたい」という声が相次ぎ、現地に行かなくてもできる支援があると思えるようになった。「必要な人がたどり着けなかったり、物資が届くのが遅れたりするのは避けたい」と、大型連休に予定していた帰省はあえて見送るつもりだ。

 「正直、半分は、故郷に何もできずにいる今の自分の苦しさを紛らわせるための支援活動かもしれない。でも、熊本出身の音楽家として、できる限りのことをやっていきたい」

 集まった義援金は、被災した子どもを元気づける取り組みなどへの寄贈を検討している。支援活動の内容は「Pi坊」の公式ウェブサイトなどで随時公表している。CD購入は、氏名・送付先・電話番号・枚数を明記して井上さんに直接メール(info@pwmusic.jp)。

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