NPOとヤマト 贈り物戸塚 「育児しやすい社会へ」 

出産 地域で祝おう

ワークショップで地域の赤ちゃんの誕生を祝い、背守りを縫う参加者(NPO法人こまちぷらす提供)

 横浜市戸塚区のNPO法人とヤマト運輸神奈川主管支店(同市鶴見区)が今月、「ウェルカムベビープロジェクト」と題した取り組みを始めた。新生児の家庭に、地域住民が縫い上げた「背守り」と呼ばれる刺しゅうと、趣旨に賛同した企業の商品を出産祝いとして贈る。少子化や地域関係の希薄化が進む中、子どもの誕生を街ぐるみで歓迎する文化の醸成を目指した試みだ。

 このNPO法人は、地域住民らが集うカフェの運営などを手掛ける「こまちぷらす」。

 「どこに行けば孤独な子育てにならないのかが分からない」「子どもと一緒に出掛けて、近所の人が声を掛けてくれるような地域に」。2014年のアンケートで集まった声を受けて、森祐美子代表は実感した。「行政に頼って解決する問題ではない」と。

 プロジェクトはヤマトと出会い、地域との関わりを探る中で生まれた。商品を贈るにあたり今年2月に公開選考会を実施。13の企業・団体の商品について、大学教授や子育て支援に取り組むNPO法人理事長らが、安全性や「感動があるか」といった観点で審査。宅配クリーニング、子連れで参加できるコンサートの無料券などが選ばれた。

 これら祝い品セットに背守りのワッペンも添える。子どもの健康や成長を願い産着の背中に刺しゅうをする日本古来の風習で、ワークショップに参加した地域住民が一針一針、縫い上げた。

 祝い品の対象は、今年4月1日以降に生まれた戸塚区在住者。案内用紙は、同区主催の母親教室などで配布している。

 企画の過程では思いがけない展開もあった。選考結果発表と同じ日に行ったワークショップ。育児中の父親の「外出中に紙おむつが手軽に購入できる自動販売機があったらいい」という意見をきっかけに、大手の日用品メーカーと飲料メーカーのコラボが実現。今夏にも、新たな自販機が登場予定という。

 「子どもの誕生を祝う文化の醸成を目指すと同時に、企画を継続させるために参加企業のメリットをどうつくるか、に重きを置いた。商品が選考会を通過することで、お墨付きを得られる。新たなビジネスが生まれる可能性もある」と同支店営業企画課の石原克己課長。祝い品を無償で写真撮影したり、ワークショップの会場を提供したりと、商品以外の形でプロジェクトに関わる企業も出始めているという。

 森さんは期待を寄せる。「モノを贈るのが狙いではなく、企業、NPO、父親、母親、地域住民…みんなが主体のプロジェクト。小さな課題の解決が、子育てしやすい社会の実現につながる」。ヤマト、こまちぷらすの双方とも、戸塚での実践を、ゆくゆくは他地域へ広げたいと考えている。

 問い合わせは事務局電話045(443)6700。

COMMENTS

facebook コメントの表示/非表示

PR