時代の正体〈274〉チマ・チョゴリ(中)未来を消させぬため

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2016/03/20 11:57 更新:2016/03/21 21:20
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 透き通るような水色は春にふさわしい晴れやかさなのに、降り積もった悲しみでチマ・チョゴリがわななき、泣いていた。

 「差別に対し、これまでいろいろと訴えてきた。国会でデモをしたこともあった。でも、今回が一番、しんどい。子孫たちがかわいそうで。あまりにしんどくて」

 16日、川崎市役所で開いた記者会見、趙(チョウ)良葉(ヤンヨプ)(78)は両手で顔を覆い、机に伏せった。

 1時間前、ヘイトスピーチで傷つけられたとして、横浜地方法務局川崎支局に救済を申し立てた。

 「朝鮮人として差別やいじめを受け、偏見にさらされ、貧乏人だと見下げられ、でも他人に迷惑を掛けないよう、近所付き合いをしているのに、何の憎悪なのか。表現の自由があるといっても、言っていいことと悪いことがある。罪にならないといっても、やっていいことと悪いことがある」

 法務局職員を前に一息に思いを語った。

 ハンカチで涙を拭い、会見を終えると趙は言った。

 「本当は号泣したかった。わーっと吐き出せばよかったけれど、抑えました。孫にもヒートアップしちゃ駄目だよと言われてここへ来ましたから。何より、みっともないじゃないですか」

 尊厳を踏みつけにされてきた在日1世の、そうしてぎりぎり矜持(きょうじ)を保ってきたさまがのぞいていた。

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