80勝へ<助っ人の横顔> 米国仕込みの制球力

ザック・ペトリック投手

 15日のフリー打撃。191センチのペトリックが繰り出す白球は整然とコーナーに投げ分けられた。直球、ツーシームにカーブやチェンジアップ。多彩な球種に打者は的を絞れない。

 「最速150キロ超の大型右腕」の触れ込みで来日した助っ人は冷静な口ぶりで言う。「持ち味はコントロール。日本でも生かせればいい」。ブルペンで投球を受けてきた嶺井も「直球も変化球も制球できている。馬力もあって球速以上にボールも重い」と舌を巻く。

 憧れは米大リーグ元ブレーブスのグレッグ・マダックス。制球力の高さでメジャーリーグ在籍23年で355勝、4度のサイ・ヤング賞に輝いた右腕に刺激を受け「年齢を重ねても活躍していたい」と自分に言い聞かせる。

 野球ファンの父の影響で幼少期から白球を追った。5歳年上の兄ビリーとともに年上に交ざってプレーした。体格の大きい相手と競い合って成長し、ショートをこなして運動神経は養われた。高い身長を生かして、バスケットボールやアメリカンフットボールも同時に親しみ、それぞれ頭角を現していった。

 転機は2002年、13歳の時だった。2メートル超の長身を誇る高校3年の兄が、カブスにドラフト3巡目で指名された。「同じ世界でプレーしたい」。地元のヒーローとなった兄の背中を追った。

 ただ、歩んだ道は遠回りだった。有名私立大を経て、メジャーへの道を目指したがドラフトでは指名されなかった。12年に大学も卒業。メジャーを視野に入れて、地元の独立リーグでのプレーを決断した時期だった。

 同年6月。アマチュアフリーエージェントの契約締め切り最終日。電話は鳴った。カージナルスからの契約の打診だった。「夢を見ているみたいだった。もちろん、その場ですぐに決めたよ」。思い出すだけでほおが緩む。

 結果はまずまずだった。13年に1Aと2Aで計34試合に登板。7勝3敗、防御率1・99の好成績で同年のマイナーリーグの最優秀投手賞を受賞した。14年から、3Aでは平均防御率4点台の「打高投低」のリーグに所属し、52試合に登板して14勝13敗で防御率4・56。自身で「メジャーには上がれない平凡な成績」と冷静に振り返るが、誇れる数字もある。

 昨季3Aで28試合に登板し、1試合平均の四球が1・7個。プロ野球に置き換えるとトップクラスの制球力を指す数字だ。「球場が狭く、ボールが飛びやすい高地や乾燥地帯でたくさん試合をしてきた。抑えるにはコースへのコントロールが必要だった」

 ブルペンでは、捕手に「日本人投手と同じようにたくさんアドバイスをしてほしい」と積極的に話しかけている。

 可能性にあふれる26歳は、瞳を輝かせて夢を語る。「視野を広げて、自分の長所を生かすためにここに来た。将来の目標に向けてレベルアップしたい。マイナーでは優勝したことがない。このチームで頂点に立ちたい」

 今季も横浜DeNAに外国人選手が新たに加わった。80勝へのキーマンとなるために。1軍の春季キャンプでともに汗を流す助っ人2人の横顔を紹介する。

ザック・ペトリック ドラフト外で米大リーグのカージナルスに入団。150キロ超の直球とツーシームやチェンジアップを武器にマイナーリーグで頭角を現し、2013年にはマイナーリーグ最優秀投手にも選ばれた。昨季は3Aで28試合に先発し、7勝7敗、防御率4.52。マイナー通算102試合で28勝16敗、防御率3.50。メジャーでの登板はない。米国出身。背番号67。191センチ、88キロ。右投げ右打ち。26歳。


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