高田松原刺しゅうに 横浜、24日まで720枚展示

松を表現した刺しゅうの前に立つ天野さん(右)と中西さん =フォーラム南太田

 東日本大震災の津波によって、壊滅的被害を受けた岩手県陸前高田市の高田松原を忘れまいと、刺しゅうに思いを託した展示が18日、フォーラム南太田(横浜市南区)で始まった。松を表現した刺しゅう720枚が国内外から寄せられ、タペストリーにつなぎ合わせた。呼び掛け人で、フリー刺しゅう作家の天野寛子さん(昭和女子大学名誉教授)は「多くの人の東北への思いがつながった」と話している。

 きっかけは天野さんが震災から半年後、陸前高田市の仮設住宅で出会った年配女性の一言。「針仕事がしたい」。テレビをつけても被災地の生々しい映像ばかり。手持ちぶさたで、没頭するものが欲しい様子だった。東京に戻ってから小布などを送ると、お礼の手紙にこう記されていた。「白い砂浜に7万本の松が連なる、美しかった陸前高田の景色を孫たちに伝えられるような刺しゅうがしたい」

 その言葉が気になっていた天野さんは2012年、同市で支援活動に取り組む中西朝子さんらと出会う。中西さんたちも「受け身でなく、住民が主体的に取り組める何か」を模索しているところだった。

 中西さんらは実行委員会を結成。仮設住宅などを使い、高田松原を刺しゅうで描くワークショップを重ねた。故郷の観光名所に思いをはせながらの作業。参加者の間に、自然と笑顔が広がったという。

 刺しゅうは、20センチ四方の布を使用。松をテーマとすることを条件に、同市以外にも口コミで賛同者を募った。集まった720枚のうち、3分の1は岩手県在住者。ほかは北海道から沖縄まで全国にわたり、イギリス、スペインなど海外からの参加者もあったという。男女問わず、年齢も小学生から90歳代まで幅広い。

 天野さんらはそれら一枚一枚を布に縫い付け、30枚におよぶタペストリーを完成させた。「奇跡の一本松」もあれば、富士山や人と松を描いた作品も。使う素材もフェルト、毛糸、帯など多彩で、それぞれに個性が感じられる。

 「予想以上の作品が集まった。東北を忘れない、という多くの人の気持ちがつながった」と天野さん。「被災地に対して自分ができることや、災害時の備えについて考えるきっかけになれば」と話している。

 震災を題材とした天野さんの刺しゅう作品の展示も同時開催。24日まで。問い合わせは、フォーラム南太田電話045(714)5911。

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