時代の正体〈257〉ヘイトスピーチ考⑤ 理のない差別、闘う立場に|カナロコ|神奈川新聞ニュース

時代の正体〈257〉ヘイトスピーチ考⑤ 理のない差別、闘う立場に

桜本封鎖(5)

 川崎市内で続く差別デモについて「何がヘイトスピーチなのか判断が難しい」「沿道からの抗議の声で騒然としていて、何を主張しているかよく聞き取れない」「人権侵害が頻発している状況という認識はない」と市の人権・男女共同参画室長が発言し、市民・こども局長もそれを言下に否定しようとしなかった。

 私は2人の後ろ向きな物言いを聞きながら、「どっちもどっち論」に通じる姿勢が背後に横たわっているのだと思った。

 どっちもどっち-。それは「朝鮮人を殺せ」「在日をたたき出せ」と連呼するヘイトスピーチに対し抗議の声を上げるカウンターと呼ばれる人たちに向けられる批判である。いわく「乱暴な言葉を使い威圧的なカウンターの側にも問題があるのでは」。結果、そのような行動をとらざるを得ない原因となっている差別をする側や規制が存在しないといった、おおもとの問題が矮小(わいしょう)化されてしまうという「効果」を生み出している。

 得てして「どっちもどっち」という人は「そんな抗議の仕方では共感は得られまい」とたしなめながら、だからといって自分は別の方法で行動するわけではないため、眉をひそめているだけで何もしない傍観者としての自分を正当化するために「どっちもどっち」という屁理屈(へりくつ)をひねり出しているように私には映る。

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