考えることが生きること 横浜で石川竜一写真展

「撮影場所は、沖縄にこだわらない。気になるものを撮っていければ」と話す石川竜一=いずれも横浜市民ギャラリーあざみ野

他の写真を見る
 沖縄出身の写真家、石川竜一(31)の初期から最新作までの約90点を紹介する写真展「考えたときには、もう目の前にはない」が、横浜市民ギャラリーあざみ野(青葉区)で開かれている。「出合った物事について、写真を通して考え続けたい」と石川は語る。

 2014年に2冊同時に出版した最初の写真集で木村伊兵衛写真賞を、続けて15年日本写真協会賞新人賞を受賞。今、最も注目されている写真家だ。

 石川が写し取る人物には気取りがない。沖縄で暮らす普通の人々に「『どこ行くのー』など、まずは声を掛ける」という。路上に寝転がった老人や厚化粧のドラッグクイーンなど衝撃的な印象を与える人々もいるが、カメラに向ける視線には警戒心がない。

 「自分が緊張していたら相手も緊張する。難しいが、自分から心を開いていかなければ、相手が開くわけがない。結局、感じるのは自分であって、自分とどう向き合い、形にできるかを考えている」と石川。

 撮影場所が沖縄というだけで、基地の町などの意味づけをされる場合もある。「二十歳くらいまでは沖縄人ということでコンプレックスがあった。負けているというか弱い立場だという気がしていた。でも徐々にどうでもよくなった。環境は自分でつくっていくもので、捉え方次第。そこが東京であっても実は同じなのかもしれない」と、今はさほど気にしていない。

 最新作は、食料やテントなどの装備を持たずに山に入るサバイバル登山家に同行して撮影した山中の写真だ。根を張る植物や水際で死んでいたヘビ、ガスでもやった急斜面など。

 「いつも見ているものがなくて、新しすぎて何も入ってこなかった。ただ『あ!』と思ったら撮っていった。あとで見てみたら、人を撮るときと同じ感覚が自分の中にあったんだなと分かった」

 写真で訴えたいものがあるわけではない。答えのない問いを考え続ける、その手段が写真だという。「物事に出合い、それを考えるとき、言葉に置き換えるとタイムラグがある。答えたときには別のものになってしまう。写真も同じ。自分が考える方法として写真を撮っている。たとえ意味がなかったとしても、考え続けることが生きることではないか」

 21日まで。入場無料。問い合わせは同ギャラリー電話045(910)5656。

COMMENTS

facebook コメントの表示/非表示

PR