横浜市29億円“減収” ふるさと納税 過熱余波 寄付金制度 PR強化へ16年度

 寄付した人に特産品などの返礼品を贈るふるさと納税の利用が全国で過熱する中、横浜市でその余波が急速に広がっている。市は「お土産競争」に参戦せず、事業への寄付を募る姿勢を貫くが、その収入額は伸び悩む。一方、市民がふるさと納税で別の自治体に寄付したことによる住民税控除額は急増。その差額をみると、2016年度は約29億円の“減収”となりそうだ。市は「さすがに無視できない数字」として、16年度当初予算案に寄付金制度に関して初めて宣伝費を計上。PR強化のほか、寄付しやすいようシステムの環境整備を進める。

 ふるさと納税が始まった08年度、その趣旨にのっとり、市は「横浜サポーターズ寄付金」を創設。世界での活躍を目指す若者の応援、市民活動の支援、緑の保全、学校施設の整備など九つの事業に関して寄付を募っている。

 市財源課によると、寄付金額は14年度約6400万円、15年度約7600万円。16年度予算案では約8400万円と微増にとどまる。

 一方で、ふるさと納税を対象とした住民税の課税控除額を差し引くと、減収幅は14年度の約1億円から、15年度は約5億円と急拡大。15年度は当初予算時の見込みより4億円以上上回る「想定外」(市担当者)だった。16年度はふるさと納税の制度改正でさらに利用者が増えることが予想され、約29億円の減収を見込む。

 「市は毎年『お金がない』と言っている。今の(寄付)制度を続けても厳しいのは目に見えている。他の仕組みを考えてはどうか」。昨年10月の市会決算特別委員会では市議から改善を要望する声が上がった。市担当者は「ふるさと納税は都市と地方の税収格差をただすもの。お土産をつけて呼び込むのは趣旨にそぐわない」と、昨今の特典競争から一線を画す姿勢への理解を求める。

 その一方、「減収額を無視できなくなってきたのも事実。まず市の制度を認知してもらう必要がある」として、16年度当初予算案に70万円を投入する。寄付対象の事業に「歴史的建造物の保全活用」を追加。これまで電話や郵送が必要だった寄付手続きを、全てインターネットで対応できるよう簡素化する。合わせてパンフレットなどを作成して制度のPR強化を図る。

 林文子市長は1日の会見で「ふるさと納税の趣旨を考えれば、人口が多い都市の責任として市税が一定程度(地方に)流出するのは避けられない。しかし税収が厳しい中、(市の寄付収入額と)大変な差となっているのは残念で反省している。(市の制度の)PRを強化する」と話した。

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