県内自治体に独自色 施行迫る障害者差別解消法(中)

 4月1日の障害者差別解消法施行で地方公共団体も「障害を理由とする差別」が禁止される。県内自治体も障害者へのアンケート、当事者、識者による検討部会の設置、職員マニュアルや対応要領の策定、障害者差別解消支援地域協議会の設立など自主的な取り組みを見せている。県内自治体の取り組みを紹介し、課題を立命館大客員教授の長瀬修さんに聞いた。

 同法は、国・地方公共団体が障害者差別に関する相談に的確に応じ、紛争の防止解決を図る体制を整備するよう求めた。地方公共団体はそれぞれの判断で、職員対応要領、障害者差別解消支援地域協議会の設置ができるとした。これを受け県内自治体では、自主的な取り組みが行われている。

意見集約


 県、横浜、藤沢市では障害者へのアンケートを行い、障害を理由とする差別を受けた体験や合理的配慮など良い対応の事例などについて意見を集約し公表している。「障害を理由に医院に受診を断られた」(藤沢市)、「高校では息子に話しかけることを一切せず、健常生徒と同じことをするよう仕向ける教師がいて大変困った」(同)など多くの問題が訴えられた一方、「職場の所属長が手話を覚えてくれて周りの理解が広がった」(横浜市、聴覚・平衡機能障害者)などの事例からは、共生社会に向けた希望を見ることができる。

 藤沢市はさらに、庁内各課へのアンケートも行って課題を検討し、「藤沢市職員サポートブック」を作成した。同法の概要説明、障害種別ごとの解説と対応方法、会議などでの障害者への配慮の方法、市内の障害者の状況などをまとめた40ページの力作だ。

対応要領


 対応要領については、開成町が19日、県内第1号の対応要領を策定。その他のほとんどの自治体でも策定作業を進めている。県の対応要領策定は現在、素案が公表され、29日まで意見募集が行われた。各自治体は策定後、年度内から新年度にかけ、職員研修を行っていくとしている。

 開成町の対応要領は、省庁の対応要領にならい、不当な差別的取扱いをしたり、過重な負担がないのに合理的配慮を提供しなかったりした場合、「その対応等によっては懲戒処分に付されることがある」と規定した。職員に対し必要な研修、啓発を行うことを規定し、同町福祉課では「新年度には職員研修を行う」としている。

広域対応


 同法では、地域のさまざまな関係機関が障害者差別解消の取り組みを主体的に行うネットワークとして、障害者差別解消支援地域協議会を設置できるとした。相談窓口の紹介、具体的事案の共有、調停・あっせんなどによる紛争解決などの役割が期待されている。

 県内では、平塚、秦野、伊勢原市、大磯、二宮町の3市2町がモデル事業に名乗りを上げ、広域の協議会を立ち上げている。協議会を通じ共同で対応要領の作成に当たっているほか、共通の相談対応票の作成も検討している。同法施行後は、正式な協議会に格上げさせる。相談対応の枠組みについても、新年度に取りまとめるアンケート、ヒアリングを踏まえ本格的に検討したいとしている。

 南足柄市、中井、大井、松田、山北、開成町の1市5町、小田原市、箱根、真鶴、湯河原町の1市3町も、それぞれ広域での協議会設置を検討している。

 横浜市では、障害者、識者らによる市障害者差別解消検討部会の提言に基づき、調停・あっせんの仕組みを含めて協議会の設置を検討中だ。

 障害福祉関係の協議会としては、障害者自立支援法に基づく自立支援協議会が県、圏域、地域に設けられている。メンバーも重複することから、多くの自治体では自立支援協議会を活用して差別解消支援地域協議会を設置する方向で議論が進んでいる。

 全国を見渡すと、茨城、千葉、愛知県など10を超える府県で障害者差別解消を目指す条例が制定されているが、県は今のところ条例制定の計画はない。

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