理解深まる教育現場 当事者語る多様な性|カナロコ|神奈川新聞ニュース

理解深まる教育現場 当事者語る多様な性

講師を務めた当事者の話に耳を傾ける生徒たち=横須賀市久里浜

 同性愛者ら性的少数者への理解を深める動きが、県内の教育現場で進んでいる。昨春、当事者の子どもへの配慮を求める通知が文部科学省から出されたことなどを背景に、2014年度に40件だった支援団体への講演依頼が15年度に入り倍近くに増えた。当事者に向けられる偏見の解消のため、一層の広がりが期待されている。

 「『ホモは気持ち悪い』という言葉が自分に向けられることに気付くと、つらい」。昨年9月上旬。横須賀市立横須賀総合高校(同市久里浜)の定時制の教室で、男性同性愛者のエクさん(19)が明かした。

 この日同校を訪れたのは、横浜で交流施設を運営するNPO法人SHIPのスタッフと16~22歳の当事者6人。倫理の授業を受ける3、4年生26人を前に、体の性、心の性、好きになる性の順に自己紹介した後、5人ほどのグループに分かれ性的少数者としての自分を語った。

 エクさんの親は同性愛に対し良いイメージを持っていない。「関係を壊したくないから、ゲイであることは絶対に言えない」

 「同性愛者で良かったことは?」。生徒に問われると、「ゲイだと自覚して、人を好きになっていいんだって初めて気付けたこと」。性が定まらないうちは、自分は恋愛してはならない存在だと思っていた。

 高校2年のかずさん(16)。体の性は女性だが、心は女性でも男性でもない。どちらの性にも属さない人をXジェンダーと呼ぶ。これまで好きになった人は女性。「世間では認められないことだから、一人で抱え込んだ」

 「不安にさせたくないから」やはり親にカミングアウトはできない。「女の人なら誰でも好きになるわけではない。それは皆さんと一緒」。生徒らは「そうだね」と繰り返しうなずいた。「もっと話を聴きたい」と、講演の時間は延長された。ある生徒は「(当事者の)友達がいるし、別に驚かなかった」。この日講演した当事者の一人は「存在が当たり前になるってこういうことなんだな」と喜んだ。

 15年度、SHIPに寄せられる講演依頼はすでに70件に上り、講演を始めた08年以来過去最多。高校や自治体からが主だが、小中学校からの要望も目立ち始めた。

 代表の星野慎二さんは、同省の通知や一部自治体で進む「同性パートナーシップ」認定の動きが背景にあるとみるが、問題を提起する必要性は依然高いと話す。エクさんらのように家族にすら自分を偽ることに悩み、「性的指向を選択している」という周囲の決めつけに息苦しさを覚える当事者が少なくないからだ。

 「気が付いたらその人のことを好きになっているもので、恋愛の対象は選べるものではない」。星野さんは講演のたびに必ず強調する。「無理解の改善には学校や行政から変わることが重要」とし、引き続き講演を重ねていく。

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