被爆者、在日3世…「怒り、失望、不安」

 北朝鮮が初の水爆実験を成功させたとのニュースが列島を駆け巡った6日、県内の被爆者からも非難と失望の声が噴出した。「核廃絶に向けた国際社会の願いが踏みにじられた」。その怒りは米ロ英仏中など核保有国にも向けられ、唯一の被爆国としての役割をあらためて問う声も。拉致被害者家族らは日朝交渉への影響を懸念し、県内の在日朝鮮人は筋違いの批判への不安をにじませた。

 「暴挙としか言いようがない。北朝鮮は何を考えているのか」。被爆者らでつくる川崎市折鶴の会会長の森政忠雄さん(82)=川崎市麻生区=は怒りを抑えきれない口調で、こう続けた。「核廃絶を目指す世界の潮流に逆らっている。日本は唯一の被爆国として国際社会に呼び掛ける役割がある。決して後戻りしてはいけない」

 14歳の時に広島の爆心地近くの自宅で被爆した横浜市原爆被災者の会の会長を務める佐藤良生さん(85)=横浜市栄区=も同じ思いだ。「原爆で亡くなった母や妹、弟のためにも、命が続く限り、核兵器の恐ろしさを一人でも多くの人に伝えていく」と力を込めた。

核廃絶の思い届かず

 核兵器禁止条約締結への期待が高まる一方で、繰り返される軍事挑発。怒りの矛先は北朝鮮にとどまらず、核拡散防止条約(NPT)未加盟の核保有国、さらには5大核保有国にも向けられる。

 元マグロ漁船船長の今津敏治さん(86)=三浦市=は、1954年に米国が太平洋マーシャル諸島のビキニ環礁で実施した水爆実験に翻弄(ほんろう)された苦い記憶がよみがえる。「核兵器は何も知らない、関係のない人まで殺傷する大きな力がある。このまま世界は悪い方へと向かうのか」と話し、「北朝鮮だけを騒ぎ立てるのではなく、核廃絶に向けた機運を高めるべき」と強調する。

 「核保有国に対抗するための核実験だと思わざるを得ない」。そう話すのは、県原爆被災者の会会長の中村雄子さん(83)=平塚市。昨年4月には米ニューヨークで開かれたNPT再検討会議に合わせて渡米し、「ヒバクシャ」として核兵器の悲惨さや残虐さを訴えた。そして、語気を強める。「(米ロ英仏中など)核保有国が核兵器を持っていること自体がおかしい。北朝鮮に限らず、核兵器はどこの国がつくっても、持ってもいけない」

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