対話、喜び広げたい ネットで手話動画公開|カナロコ|神奈川新聞ニュース

対話、喜び広げたい ネットで手話動画公開

難病、聴覚障害 横浜のカップル

手話の動画を自作しネットで発信している竹田さん(左)と宮本さん =横浜市泉区

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 インターネット上で手作りの手話動画を公開し続けているカップルが横浜市泉区にいる。竹田英雄さん(49)と交際相手の宮本涼子さん(34)。涼子さんに聴覚障害があるため2人は普段から手話でコミュニケーションを取っており、息の合った軽妙なコントを披露することも。2人は障害や病気で周囲とうまく意思疎通できず苦しんだ経験があり、「単語一つでも覚えて使ってもらえれば」との言葉に力がこもる。

 6年間で公開した動画の数は3500本を超える。「食べ物」「選挙関連」といったテーマごとに単語を探せるほか、「全国手話検定試験」に対応したコーナーも充実。用例やコントも含め数十秒~5分と短くまとまっており、字幕付きで手話の知識がなくても気軽に楽しめる。

 2人が出会ったのは2005年。市内の障害者支援施設でパソコン講師をしていた竹田さんのもとに生徒としてやって来たのが宮本さんだった。

 宮本さんは2歳の時病気で聴力を失った。親やきょうだいは手話を覚えようとしてくれず、周囲の人と意思疎通する手段はほぼなかった。進学した小中学校でも授業や人間関係についていけず、竹田さんのパソコン教室を訪ねた時は引きこもりに近い状態だったという。

 筆談や簡単な手話で懸命に意思疎通を図ってくれる竹田さんは宮本さんにとって、自分と向き合ってきちんと対話してくれる初めての人だった。毎週欠かさず教室に通い、気付けば竹田さんの隣で笑っている自分がいた。

 竹田さんもまた、全身のしびれなどが起きる難病「多発性硬化症」で身体障害とともに生きてきた。

 症状に波があり、つえや車いすを頻繁に使う。発話が難しかった時期もあり、言いたいことが伝わらないもどかしさや孤独は痛いほど分かっていた。

 竹田さんは手話を猛特訓した。出会ってから5年ほどたった10年1月、仲が深まり、手話による会話も自然にできるようになっていた2人は仕事の空き時間に動画配信をスタート。東日本大震災の際はニュースに応じて「停電」「仮設住宅」「放射性物質」といった手話を約50本取り上げるなど、更新を続けてきた。

 宮本さんは「手話に興味がない人も、楽しみながら動画を見てくれれば」とほほ笑む。竹田さんも「聴覚障害者にとって手話を覚えてくれる人はとても貴重で、一言でも使ってもらえるとうれしいもの。ビジネスでも使えるし頭の体操にもなるので、覚えて力になってほしい」と熱弁した。

 2人は講演やインターネット手話教室なども行っている。動画や活動については、竹田さんが経営する会社「ハートフルパワー」のウェブサイト(http://www.heartfulpower.jp/)で。

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