暮れゆく簡宿街〈上〉火事がなければ、きっと一生ここにいた。|カナロコ|神奈川新聞ニュース

暮れゆく簡宿街〈上〉火事がなければ、きっと一生ここにいた。

 高度成長期は労働者の街として、その後は福祉の街として存在してきた川崎の簡宿。5月の火災で取り巻く環境は急変した。年の瀬に暮れなずむ簡宿街を歩いた。

 15年続いた簡易宿泊所での暮らしは、それほど悪くはなかった。

 読書とマージャンが趣味で、家族はいなくても友人がいた。テレビを見るにも料金が掛かり、部屋の電気は夜11時で消される。わずか3畳という狭さでも、雨露がしのげ、身の安全を心配することもない。路上生活の過酷さとは比ぶべくもなかった。

 「火事がなければ、きっと一生ここにいた」
...

PR