受動喫煙訴訟、原告の請求を棄却 地裁判決|カナロコ|神奈川新聞ニュース

受動喫煙訴訟、原告の請求を棄却 地裁判決

「とても残念」と判決の受け止めを語る原告の小野里さん(左)=横浜市中区の横浜弁護士会館

 職場内の喫煙所から漏れた煙による受動喫煙被害で持病の心臓病が悪化したとして、横浜市内の自動車教習所に勤める男性が、運営会社に1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、横浜地裁であった。田中寿生裁判長は「会社は従業員を受動喫煙から保護する義務を一応果たしていた」として原告の請求を棄却した。

 会社の受動喫煙対策が十分だったか、原告の症状悪化との間に因果関係があるかが争点となった裁判。判決によると、喫煙所は執務室の一角にあり、隙間無く間仕切りされて換気扇が設けられていた。

 田中裁判長は、会社は煙の漏れを防ぐため喫煙所出入り口のドアを閉めるよう職員に注意していたと指摘。ドアが開いていると執務室内に空気が漏れ出ることはあったものの、「たばこ臭を感じる程度のものであって、呼吸器や目の刺激症状を起こすまでは認められない」とし、受動喫煙と心臓病発症との間に因果関係があることを認める証拠もないとした。

 原告側は、喫煙所は執務室側に煙が漏れる原因となる通風口が設けられるなど不備があり、国のガイドラインに違反するとも主張していたが、判決は「基準に満たなくても、ただちに安全配慮義務に違反するとはいえない」として退けた。

 会社側は「当社の主張が正当なものと認められた。今後も従業員が安心して働くことができる良好な環境づくりを進めてまいります」などとコメントした。

 原告の小野里純彦さん(62)は判決後、「残念な判決。控訴したい」と話した。原告側代理人で日本禁煙学会理事の岡本光樹弁護士は「心臓病を患う原告に対する会社のスモークハラスメント(喫煙に関する嫌がらせ行為)が事案の本質。不当な判決だ」と批判。分煙しても喫煙所から漏れる煙に悩む人は多いとし、「受動喫煙対策のためには、職場内は全面禁煙を進めるべきだ」と訴えた。

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