2015海老名市政の課題(上)図書館運営 指定管理導入に賛否|カナロコ|神奈川新聞ニュース

2015海老名市政の課題(上)図書館運営 指定管理導入に賛否

リニューアルした海老名市立中央図書館 =同市上郷

 「事業者に高い指定管理料(年間約3億円)を支払っていながら、教育長が購入本を一冊一冊確認するのはおかしい」「効率化の面だけで民間に運営を任せてよいのか、市民の声を聞くべきだ」

 1日にリニューアルオープンした海老名市立中央図書館(同市上郷)で浮上した不適正図書の混入問題。市議会が説明を求めて開催した20日の全員協議会は、市教育委員会への質疑が2時間以上続いた。傍聴者は用意した席が足りないほど訪れ、関心の高さをうかがわせた。

 築30年を迎えた中央図書館は海老名駅に近く、利便性が高いものの、施設が老朽化。市は更新手法を検討する過程で、民間のノウハウも生かせる指定管理者制度を選択した。

 公募により決定したのはレンタルソフト店大手「TSUTAYA(ツタヤ)」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と図書館流通センター(TRC)の共同事業体。TRCは窓口業務などを4年前から受託、CCCとは初の契約になった。

成功モデルとして注目

 CCCは2013年4月、佐賀県武雄市立図書館のリニューアルを手掛けてこの分野に参入。大胆な改装が話題を集め、高い集客力は成功モデルとされた。海老名は全国2カ所目の“ツタヤ図書館”になった。

 ところが、開館まで2週間を切った9月下旬、海老名市議会で今回の問題が取り上げられた。武雄市で発覚した中古本の購入はなかったが、新規に購入する約7100冊の確認に追われたため、海外の風俗店を紹介する旅行ガイドなど6冊が見逃され、開架された。

 全員協議会では、混乱を招いた市教委の管理責任が厳しく問われた。伊藤文康教育長は「指摘された課題は改善を図り、市民にとってより良い図書館にしたい」と謝罪。市教委と指定管理者による選書委員会の設置や開架図書の分類法の見直しなどを約束した。

異なるアンケート結果

 リニューアルから間もなく1カ月、館内はにぎわいを見せる。午後9時まで開館時間が延長され、1日平均の来館者は平日2431人、休日4401人と大幅に増え、貸出冊数は前年度の約2倍になった。

 市教委が10月中旬に実施した利用者アンケートでも、8割が「図書館の雰囲気が良い」、6割が「(併設された)カフェ・書店が良い」などと答え、好評ぶりを裏付けた。

 しかし、指定管理者制度の導入を疑問視する「海老名市政を考える会」が5~6月に実施したアンケートの結果は趣が異なった。「市直営を支持」「カフェ・書店に反対」がそれぞれ半数を占めた。

 同会の笹川忠夫代表は「今回の選書問題は業者丸投げの姿勢が原因。既に除籍(蔵書の廃棄)された約1万4千冊についても貴重な資料が含まれていなかったか、確認する必要がある」と指摘。情報公開請求で入手した除籍リストの分析を進めているという。

 そうしたさなか、中央図書館の運営をめぐる方向性の違いなどを理由に、TRCがCCCとの業務提携関係を見直す検討を進めていることが明らかになった。今後の運営形態などは流動的で、図書館改革を掲げる市の取り組みからしばらく目が離せない。
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 海老名市長・市議の同日選が11月8日告示、15日投開票される。市政が抱える課題などを探った。 

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