日本民俗学の源流 生誕140年、柳田國男展近代文学館

柳田國男

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 「遠野物語」で知られる民俗学者・柳田國男(1875~1962年)の生涯をたどる生誕140年を記念した特別展が、11月23日まで県立神奈川近代文学館(横浜・港の見える丘公園内)で開かれている。幼少の頃、暮らした山村で飢餓や差別、家族制度の閉塞(へいそく)性を目の当たりにし、民俗学を生み出す原体験となった。その学術的変遷は、今の社会に新しい道筋を見いだす知恵ともなり得ると再評価されている。

 柳田は兵庫県田原村辻川(現在の福崎町)に8人兄弟の六男として生まれた。著書では「日本一小さい家」と語る生家で、両親や兄弟らと貧しい暮らしを強いられた。しゅうとめとの確執で兄夫婦が離婚。こうした幼少体験も研究の礎になったといわれる。

 茨城県布川村(現在の利根町)に住む兄に引き取られた柳田は13歳のころ、貧しさのあまり母親が間引き(乳児殺し)をする徳満寺の絵馬を見て衝撃を受ける。「飢饉(ききん)を絶滅したい」との思いが民俗学に駆り立てたと柳田自身、回想している。農村の飢餓を根絶しようと大学卒業後は農商務省に勤めた。

 知己を得た佐々木喜善の話を基に1910年、遠野物語を出版。18年には日本初の村落調査を津久井郡内郷村(現在の相模原市緑区)で行った。柳田と神奈川との縁は深く、調査や講演で横浜や小田原など県内各地を訪れている。散策中に川崎の生田丘陵を自らの墓所と定めて62年、この地に埋葬された。

 「柳田國男展 日本人を戦慄せしめよ」は原稿や書簡など約450点を公開。徳満寺の間引き絵馬も展示されている。教育の需要性を訴えたことでも知られ、同館の斎藤泰子さんは「正しい判断力を養うことの大切さを唱えた柳田の言葉と生涯は現代人にも強く響くのでは」と話す。

 月曜休館(11月23日は開館)。一般600円。問い合わせは同館電話045(622)6666。

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