仲村トオル「自分を走らせるもの」|カナロコ|神奈川新聞ニュース

仲村トオル「自分を走らせるもの」

旬漢〈9〉

俳優の仲村トオルさん。17・18日に「KAAT 神奈川芸術劇場」で行われる舞台「グッドバイ」に主演。愛人たちと別れるために奔走する男を演じている

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 俳優の仲村トオル(50)が17・18日、「KAAT 神奈川芸術劇場」(横浜市中区)で上演される舞台「グッドバイ」で、愛人らと“さよなら”するため奔走する男をユーモラスに演じている。ステージには小池栄子(34)、水野美紀(41)、萩原聖人(44)とドラマや映画などで主演を張る面々がずらり。仲村は「サッカーに例えるなら、どこにパスを出してもゴールを決めてくれる人ばかり。東京で始まった公演は回を追うごとに精度が増して、ほれぼれするほど。神奈川公演は各地をめぐり、最後に舞台を行う大千秋楽の場所です。客席も一緒に輝く空間を作って欲しい」と呼びかけている。

 原作は太宰治の絶筆作「グッド・バイ」。新聞連載用に書かれた小説だが、太宰が愛人と自殺したため13回分で幕を閉じた。未完作の扉を開き、脚本・演出を務めたのは、劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)。追記した言葉が浮かぬよう、「姥捨」に出てくる「死のうか一緒に」など過去に太宰が発表した作品の言葉を演者の台詞に含ませている。さらに「グッド・バイ」に出てくる怪力の美女・キヌ子(小池)が背水の陣を「フクスイ」と読む頭の弱さを〝活かそう〟と、日直を〝ひじき〟、曲(くせ)者を〝まげもの〟と読ませるなど、太宰のにおいを感じる仕掛けも巧妙だ。仲村は「自ら人生を閉じた人が、死の直前に書いたとは思えない。驚くほど明るい」と話すように、別れがテーマだが、トンチンカンなやりとりは、涙よりも笑いを誘う。KERAの脚色に、太宰が大笑いしている声が聞こえてくるようだ。

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