逗子マリーナの高層ホテル構想、揺れる地元|カナロコ|神奈川新聞ニュース

逗子マリーナの高層ホテル構想、揺れる地元

リビエラグループが地元住民らに提示した、逗子マリーナに建設を検討する高層ホテルのイメージ図

 2020年東京五輪セーリング競技の江の島開催を見据え、逗子マリーナ(逗子市小坪)に高さ130メートル超の高層ホテルを建設する構想をめぐり、地元が揺れている。大会関係者らの間では競技運営者やVIPが宿泊する施設の必要性の認識が共有されている一方、市民グループを中心に自然環境や景観への影響を懸念する反対の声が拡大。全体の大会概要も判明しない中で持ち上がった“未来予想図”に、波紋が広がるばかりだ。

 「天を突くような建物。周囲と調和させようという感じではない」。逗子マリーナに住む女性は違和感を隠せない。同社や市へホテル構想を問い合わせたが、どちらからも説明は得られなかった。「なぜ住民が情報を知れないのか」。不信感が膨らむ。

 別の女性も「小坪の住環境が損なわれる」と計画を不安視。インターネットでは「高層ホテルは要らない!」とする呼び掛けが拡散され、22日までに2万人近い賛同が集まっている。

 ホテル建設構想は、マリーナを運営するリビエラグループ(東京都港区)が描く小坪地区周辺再開発に向けたアイデアの柱。同社は防波堤の拡張や小坪漁港の再整備などと合わせて小坪地区の「住民自治協議会」とともに検討したとしているが、住民協の役員らは「7月にリビエラ幹部から構想の説明を受けたが、賛否は明らかにしていない」。同社に詳細情報の提供を求めるとともに、自治体の動向を注視している状況という。

 平井竜一市長らが6月下旬に同社から説明を受けた市も「一民間企業の考えを聴いただけにすぎない」(市経営企画部)。9月の市議会では、情報公開を求める市民からの陳情審査に際し「現時点で市として説明できる段階にない」と述べるにとどまった。

 とはいえ、江の島開催に向け、選手村とは別に大会やメディア関係者らの宿泊場所の確保が課題となりつつあるのは事実。8月下旬に黒岩祐治知事を訪ねた日本セーリング連盟の山崎達光名誉会長や河野博文会長らは、選手村やレース海面の確保といった課題を並べる中で、湘南での関係者の宿泊場所の必要性も挙げた。

 また、県は「かながわシープロジェクト」と銘打ち、国内外から観光客を呼び込むための「国際的ビーチリゾート」創出を目指している。マリンスポーツや漁業などの専門家11人でつくる会議(総合プロデューサー・木村太郎氏)が3月にまとめた報告書では、20年を目標に国際級ホテルや観光施設の整備の必要性も盛り込まれている。

 逗子マリーナなどがあるエリアは、市まちづくり条例で建物の高さが20メートルに制限されている。構想実現には市の地区計画制度を利用するなどした制限緩和が必要で、五輪までの完成を目指すには早急に青写真を描かなければならない。

 しかし、大会組織委員会などによる具体的な競技開催計画は現時点で何も明らかにされていない。黒岩知事は「五輪の中で何が必要なのかを把握しないと、逗子のアイデアを前に進めていくべきかどうか、地元の皆さんも判断できない」とし、組織委など関係機関による早期の計画公表を求めている。

PR