田中哲司「ゴールを決めない」|カナロコ|神奈川新聞ニュース

田中哲司「ゴールを決めない」

旬漢〈8〉

俳優の田中哲司。21日から東京・新国立劇場小劇場で始まる舞台「RED」で画家、マーク・ロスコを演じる

他の写真を見る
 「役のために短くしたんです」。182センチの長身を見上げて驚いた。丸刈りである。資料として持っていた写真イメージから遠く離れており、失礼ながら一瞬誰か分からなかった。「セリフに、『私は君の父親じゃない』と言う場面があって、ちょっと老けた感じにしたくて」と短く刈った頭を恥ずかしそうになで回した。作品に緊張感を生む、いぶし銀の演技が魅力の俳優・田中哲司(49)だ。21日から「新国立劇場小劇場」(東京都渋谷区)で幕を開ける舞台「RED」で、俳優・小栗旬(32)と対峙する。田中は物語のモチーフになった実在の画家、マーク・ロスコを演じる。【西村綾乃】

 アメリカ抽象主義を代表するロスコは、66歳で自死を選んだ。晩年に完成させたのが、30点の巨大な「シーグラム壁画」。うち7点は「DIC川村美術館」(千葉県佐倉市)で公開されている。「ロスコルーム」と呼ばれるそこは、画家の生前のこだわりを尊重し、ロスコの絵のみで構成。1つの壁面に1枚ずつ作品を展示した薄暗い7角形の部屋で、訪れた人を“RED”が包む。肉体の中に入り込むような異空間。稽古に入る前に足を運んだ田中は「絵を見つめていると、いろいろな赤が何度も重ね、塗られているのが分かった。赤の中にオレンジ、ブラックの線や形が浮き立ってきて。すごい存在感と圧倒されました。開いた口の中をのぞき込んでいるような感覚にもなって」と画家に思いをはせる。

PR