上妻宏光「一音入魂」|カナロコ|神奈川新聞ニュース

上妻宏光「一音入魂」

旬漢〈7〉

最新アルバム「伝統と革新-起-」

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 「音が空(くう)を切り裂いている」と感じた。音がする方へ、身体が吸い寄せられる。何か起きたのか、少しあわてた。
 
 それは、歌舞伎俳優の市川海老蔵(37)が2014年1月に行った新春公演「壽三升景清(ことほいでみますかげきよ)」でのこと。歌舞伎と津軽三味線が初めて競演した、歴史を変えた日。津軽三味線奏者の上妻(あがつま)宏光(41)の演奏は、海老蔵が豪快な荒事を繰り広げた舞台の中で、荒波を削り突き進むような音を放っていた。【西村綾乃】
 
 終演後、すぐ「あの人は?」と関係者にたずねた。「あぁ、上妻さんですね」と答え。感じたことが何だったのか、確かめたかった。帰りがけに、飛び込んだCD店にずらり並ぶ作品たち。手に取ると、「津軽じょんから節」などの古典のほか、バンドネオン奏者の小松亮太とタンゴの名曲「エル・チョクロ」で共演したり、ジャズを取り入れるなどしていた。“異端児”として、巻き起こしている風を感じたのか、胸が騒いだ。筆者が小学時代に吹奏楽部で演奏した「エル・チョクロ」が懐かしく、同曲が収録されたアルバム「GEN-源-」を手に、家に急いだ。

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